製造業で作成される製品は日々進化しており、製品構造はより複雑になってきています。それに伴い、製品データも大規模・複雑な構造をしたアセンブリデータの作成が必要になります。膨大な数の部品を追加・配置作業や複雑な構造のため、干渉を起こさず設計を進めることがより困難になります。
そのため、設計業務では大規模・複雑なアセンブリデータの構築に対応したCADシステムが求められますが、SOLIDWORKSは部品挿入機能やアセンブリ作成機能により効率的に製品データを構築できます。
効率的に構成部品挿入する各種機能
・デザインライブラリ
SOLIDWORKSでは構成部品として使用する部品・アセンブリファイルを「デザインライブラリ」として登録できます。登録されたファイルはタスクパネル上に表示され、そこからグラフィック領域へドラッグ&ドロップするだけで簡単にアセンブリへ追加できます。グループの共有ディレクトリに保存されたファイルをライブラリとして登録することでライブラリデータを共有して使用できます。
・合致参照
使用頻度の高い構成部品データに対して「合致参照」を定義し「デザインライブラリ」に登録することで、追加ファイルを個別に開く必要なく、即座にファイルを挿入・配置することが可能になります。
部品挿入時に効果を発揮する設定機能
・スマート構成部品
構成部品として使用する部品ファイルを「スマート構成部品」として定義することで、一部品の挿入と同時にほかの関連部品やフィーチャーを同時に追加できます。例えば、ボルト部品に対して「スマート構成部品」の設定を行うことで、ボルト部品を挿入しただけで関連する「ボルト穴のフィーチャー」と「ナット部品」を同時に追加できます。特定の形状・関連部品と共に用いられる構成部品をあらかじめ登録しておくことで、効率的にアセンブリへ追加できます。
・Configuration Publisher
「Configuration Publisher」は構成部品挿入時にサイズ・形状の条件を指定するユーザインターフェースを設定しておくことで、挿入と同時に任意の条件を入力すると指定サイズのコンフィギュレーションを自動で作成・選択できます。
標準部品の追加機能
・Toolbox
SOLIDWORKSアドイン機能として搭載されている「Toolbox」はJISやANSIといった規格ごとにボルトやナット、座金の標準部品がカテゴリごとに用意されています。それらをドラッグ&ドロップするだけで追加できます。用意された規格・サイズのほか、既存のデータを編集しユーザ定義の規格・サイズとしてカスタマイズも可能です。
・スマートファスナー
「スマートファスナー」はSOLIDWORKSの穴コマンドを使用して作成された穴形状を認識し、各部位に規定あるいは指定のファスナー部品を自動で一括挿入できます。
構想設計・設計検討に適したアセンブリ機能
・エンベロープ
SOLIDWORKSでは、アセンブリ上で部品・アセンブリファイルを「エンベロープ」として使用できます。「エンベロープ」はソリッドを含んでいても質量特性が考慮されず、部品表にも表記されない参照用データとして使用できます。
例えば、製品を構成する各ユニットの使用領域をソリッド(ボリューム)で表すことで、各ユニットの設計担当者はその使用領域を守りながら設計を進めていけばユニット間の干渉を回避できます。
・レイアウト
アセンブリ内で作成する製品の全体・概略形状などのレイアウトをスケッチで作成・表示し、アセンブリの構想・検討を行うことができます。
(本稿はCAD Japan.comより提供を受けた記事を編集したものです。)