SOLIDWORKSでは、大規模なアセンブリに対して読み込む情報量を制限し、簡略化することでパフォーマンスを改善し、再構築に要する時間を短縮することができます。また、ズームや移動、回転などの表示スピードを向上させることもできます。これにより、マシン負荷のかかる大規模アセンブリでも効率のよい作業を可能にし、業務に集中することが可能です。
SOLIDWORKSにはデータを開く際にいくつかのモードが用意されており、以下の機能を活用することで通常よりも短い時間でデータを開くことができます。
- ライトウェイト構成部品
- 大規模アセンブリモード
- SpeedPakコンフィギュレーション
- 大規模デザインレビュー
ライトウェイト構成部品
構成部品を完全解除またはライトウェイトの状態としてアセンブリをロードすることができます。構成部品をライトウェイト状態にすると、モデルデータの一部の必要な情報のみがメモリに読み込まれるため、アセンブリを開く時間を短縮することができます。
また、アセンブリの再構築は、評価されるデータが少ないため、迅速に行われます。 ライトウェイト構成部品では、必要に応じて完全なモデルデータが読み込まれるので、効率的に作業が行えます。ライトウェイト構成部品では、以下のアセンブリ操作を行うことができます。
- エッジ/面/構成部品の選択
- 合致関係の追加・削除
- 移動、回転
- シェイディング表示、隠線表示、ワイヤーフレーム表示
- 質量特性
- 干渉認識
- 測定
- 衝突検知
- フィジカルシミュレーション
- アセンブリフィーチャー
- 分解図
- 断面図 など
大規模アセンブリモード
大規模アセンブリモードは、メモリに読み込むデータを制限するだけでなく、アセンブリのパフォーマンスを向上させるため、パフォーマンスに影響を及ぼすシステム設定を自動で最適化し、アセンブリを開く時間を短縮することができます。 任意に大規模アセンブリ モードに切り替えたり、構成部品が指定した数に到達した際に自動的に大規模アセンブリモードに切り替わるように設定したりすることができます。
SpeedPakコンフィギュレーション
特定の要素を維持したまま、アセンブリの簡易表示を作成する特別なコンフィギュレーションです。面、またはボディを指定することでそれらの要素を維持し、その他の要素は簡略化されます。SpeedPakは抑制を行わずに簡略化をするため、通常のアセンブリをSpeedPakコンフィギュレーションで置き換えても合致や外部参照などの参照が失われることはありません。複雑で大規模なアセンブリをより上位レベルのアセンブリに挿入する場合、SpeedPak コンフィギュレーションを使用することにより、メモリの使用が抑えられ、アセンブリおよび図面の編集時に幅にパフォーマンスを改善することができます。
また、SpeedPak 情報はアセンブリファイルの中に完全に保存されますので、アセンブリファイルのみで、アセンブリを共有することができます。
大規模デザインレビュー
アセンブリのデザインレビューを実施するのに有効な機能を保持したまま、非常に大規模なアセンブリを迅速に開くことができます。合致、質量などの情報は読み込まず、形状のみを表示しているため、軽快にモデルの移動や回転をすることができ、大規模アセンブリを使用したデザインレビューを効率的に実施することができます。
大規模デザインレビューモードでアセンブリを開いた場合、以下のようなレビューに有効な機能が使用できます。
- FeatureManagerデザインツリーでの操作
- 距離の測定
- 断面の作成
- 構成部品の表示/非表示
- ウォークスルーの作成、編集、再生
その他、アセンブリ構成、形状を簡易化する機能
データのロードに関する機能以外にも、読み込む情報量を制限するため、アセンブリの表示や構成、形状を簡易化するための機能が搭載されています。
構成部品の非表示
再構築時間に影響しませんが、表示パフォーマンスを改善します。
構成部品の抑制
構成部品をアセンブリから削除することなく一時的に取り除くことにより、抑制された構成部品はメモリから消去され、読み込みや再構築の速度、および表示パフォーマンスが改善されます。また、アセンブリの機能的な要素ではなくなるため、残りの構成部品の評価実行速度が速くなります。
抑制状態のコンフィギュレーション作成
事前に不要な構成部品を抑制した状態をコンフィギュレーションとして作成しておくことでコンフィギュレーションを切り替えるだけで設計作業に必要な部品のみをメモリ上に読み込ませることができます。また、ファイルを開く際にもコンフィギュレーションを指定して開くこともできます。
その他、アセンブリ上での作業を効率化する便利な機能がSOLIDWORKSには多数、搭載されています。
AssemblyXpert
アセンブリのパフォーマンスを解析し、パフォーマンスを改善できる可能性のあるアクションを提案します。これは、大規模で複雑なアセンブリで作業する場合に有効です。状況により、アセンブリに対して、パフォーマンスを改善するための変更処理をすることもできます。
Defeatureツール
部品やアセンブリから詳細部分を削除し、フィーチャー定義や履歴のないソリッドとして新しいファイルに保存することができます。簡略化したモデルでグラフィックスを簡略化して再構築の回数を減らすことでパフォーマンスを向上することができます。アセンブリファイルを対象にDefeatureを行う場合、保持・削除要素の選択のほか、合致定義された部品間でグループ指定することで機構を維持しながら形状を簡略化することが可能です。
虫メガネツール
大規模なアセンブリで作業する場合、画面の縮小/拡大、回転などによる表示の切り替えだけでも処理に時間がかかる場合があり、モデルの細部の確認・選択作業を行うのに表示を切り替える作業に手間取ることがあります。そんな時、虫メガネツールを使用することで、カーソル周辺部分を任意のサイズに拡大し、モデルの確認、選択を行うことができます。
ウォークスルーツール
ウォークスルーではアセンブリ内でパスに沿って動くカメラを設定し、カメラ視点から見た映像を録画しながらモデルの見え方、位置関係などを確認することができます。アセンブリ内でカメラを任意のルートで動かし、視点や角度を変えながら見た映像をAVI形式の動画ファイルとして作成し、製品がどのように見えているかを確認することができます。
SOLIDWORKSの大規模アセンブリデータ処理機能を使用すると...
SOLIDWORKSの大規模アセンブリデータ処理機能を使用することで、以下の作業が可能となります。
- 作業中、メモリ上に読み込まれる情報量制限することで、アセンブリの表示や再構築の速度が速くなり、システムリソースをより有効に活用できるようになる。
- パフォーマンスを損なうことなく設計データを扱うことができるため、大規模アセンブリでも作業効率を落とすことなく業務が可能。
- 「大規模デザインレビュー」ではスペックの低いマシンであっても大規模なアセンブリを短時間で開き、レビュー機能の使用や、必要なデータを選択して開くことができる。
- 抑制や非表示により読み込む情報量を制限することで、メモリ、グラフィックリソースを軽減し、大規模アセンブリであっても効率的に作業することが可能。
(本稿はCAD Japan.comより提供を受けた記事を編集したものです。)