インフラ関連のノウハウを生かしITセキュリティ分野にも進出

アメニティ・サービス・関西 代表取締役社長 阿瀬井佳一氏

アメニティ・サービス・関西は、NTT西日本グループにおいてエンジニアリングとビルメンテナンスを柱に事業を展開している企業だ。NTT西日本グループと言えど、株主はNTT西日本以外に地元企業がずらりと名を連ねており、グループ内としては自由度の高い取り組みができることを強みとしている。

昨今、主力業務だったビルメンテナンス業の収益が厳しさを増す一方、ビルの光回線対応工事などを含めたエンジニアリング業務も市場が成熟したため業績を右肩上がりで伸ばしていくのは厳しい状況だ。最近では、看板のLEDライト化や高性能遮熱ガラスを採用するエコシールドなど、環境をサポートするエコプランにも注力しているが、ビジネスの拡大を考えると、さらに強力な商材が欲しいところだ。そこで、同社が新たに投入したのが「中小企業向けの社内ネットワークセキュリティ管理サービス」だ。

同社の通称「アスカ」をもじって付けられたサービス名は「アスクラウド」。同サービスの基盤は、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンのフルマネージドのセキュリティサービス「WatchGuard MSX」が担っている。

「インフラ関連のビジネスで培ったノウハウを生かしLAN敷設工事なども手掛けていたのですが、さらに一歩踏み込んだネットワーク関連のソリューションを提供しようと考え、その第1弾として『アスクラウド』を投入しました。小社の通称である『アスカ』と『明日へ向かう』という意味をかけた名称です」と語るのは、代表取締役社長を務める阿瀬井佳一氏だ。

月額3万円でハードウェアもレンタルする「アスクラウド」

アスクラウドのターゲットは、専任のネットワーク管理者が不在で、セキュリティに不安を抱えている中・小規模の企業だ。「電子メールやインターネットを使っていながらも、ネットワークの状態をまったく把握しておらず、セキュリティ対策をどうしてよいのかわからないという中小企業は少なくありません。アスクラウドは自社のIT環境のセキュリティ状況に不安を感じている企業のためのソリューションです」と、阿瀬井氏は語る。

中小企業が導入しやすいことを前提に作られたアスクラウドの特徴は、UTMである「WatchGuard XTM」をレンタルで利用できることにある。WatchGuard MSXを利用する場合、WatchGuard XTMを購入し、その付帯サービスとしてマネジメントやログ集積レポート、24時間監視といったサービスを受けることになる。しかし、中小企業にとっては「機器の購入」が導入の障壁になることもあるという。

アメニティ・サービス・関西が提供する「アスクラウド」の運用図

「アスクラウドの料金を月額レンタル料金制にすることでイニシャルコストを削減し、コストが導入のハードルとなることを回避しています。価格は、60~80名の環境向けのXTM 3 Seriesで月額3万円、100名以上の環境のXTM 5 Seriesで月額3万6000円からとなります。自分が中小企業の経営者だったら使いたいと思える価格に決定しました。サービスの質にかかわらず、ネットワークセキュリティに詳しくない経営者は料金が『300万円』と言われた時点でそのサービスの導入にNGを出します。3万円台という価格も大きなポイントです」と阿瀬井氏。使う人の立場に立ったサービス内容、価格設定になっているというわけだ。

ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンが提供するUTM「XTM 3 Series」

中小企業のネットワークセキュリティ対応を長く経験してきたエンジニアリング部 営業部長の宝玉昭彦氏は、「ファイアウォールなどのセキュリティ機器を導入していながらも、放置状態になって導入効果を得られない傾向が高いのも中小企業の特徴です。『セキュリティに不安を感じているけれど、社内でサーバを管理することはできない』という企業も、機器をレンタルするアスクラウドならば導入しやすいでしょう」と語る。

アスクラウドのサービス内容は、基本的にはWatchGuard MSXと同じだ。24時間の自動監視とログの集積レポート、マネジメントが提供される。ただし、日中の監視と対応業務はアメニティ・サービス・関西が行う。ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンが提供するツールを利用して行う、アメニティ・サービス・関西独自のサービスだ。

「WatchGuard MSX」の堅牢なハードと使いやすいサービスが魅力

WatchGuard MSXはわかりやすいログの提供を特徴としているが、これはIT知識の少ない経営層にとって非常に効果的なものだという。

一昔前のログは文字情報ばかりで、ITに詳しい人のみが理解できる内容だったが、WatchGuard MSXのログはグラフィカルでわかりやすいので、経営者の方々も自社のセキュリティの状況をつかむことができるというわけだ。

アメニティ・サービス・関西は自社でも「WatchGuard MSX」を導入しており、その使いやすさを実感している。「WatchGuard MSXは扱いやすく面白いサービスです。ログの取得を始めたことで、『使ってよいサイトと悪いサイト』の違いを考えるようになりましたし、社員全体がセキュリティを意識するようになりました」と阿瀬井氏が語る。

また、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンの製品に対する信頼も厚い。「これまでウォッチガードのUTMを一度に500台納入したことがありますが、その時の初期不良はゼロ。10%程度は初期不良が出るのが普通ですから驚きましたね。また、壊れにくいので販売後のトラブルも少なく、メンテナンスの手間がかかりません。性能面でもUTMとしてすべての機能を利用した時にスループットが落ちないのも魅力です」と宝玉氏。

ウォッチガードのUTMが顧客企業に自信を持って紹介できる品質と低価格を両立していることが「アスクラウド誕生」の決め手となったようだ。

同社は今後、アスクラウドを大きく育てるとともに、NTT西日本との連携も強化したいとしている。「NTT西日本は現在、『それっきりIT』というテレビCMを行っており、『中小企業のITをまるごと任せてください』というメッセージを発信しています。アスクラウドもこのグループ全体の戦略に乗り、大きく育ってほしいですね。ゆくゆくはNTT西日本グループ全体で扱ってもらえるサービスにしたいと考えています。今は高いモノが売れない時代です。安くて高性能なアスクラウドが、営業スタッフにとって元気をもたらす商材になってくれるといいですね」と阿瀬井氏は語った。