赤いボックスのUTMベンダーとして知られるウォッチガード・テクノロジー・ジャパンが中小企業向けに新たなサービスを開始した。それは、フルマネージドのセキュリティ管理サービス「WatchGuard MSX」だ。このサービスはUTMの導入から日々の運用まで、すべて同社が請け負ってくれるというものだ。以下、同サービスの詳細を紹介しよう。
セキュリティに悩む中小企業に救いの手を!
「中小企業の多くはメールやWebを利用していますが、IT担当者は不在であることが多く、どのようなセキュリティ対策を打てばよいのかわからない状態にあります。『ルータだけ置いてあればよいとは思わないが、何をどうしたらいいのかわからない』というのが実情です」と語るのは、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンの営業部長を務める真田賢太氏だ。
中小企業向けのセキュリティソリューションは各社から提供されているが、中小企業にとって導入しやすいものは少ない。ファイアウォールやUTMの存在は知りながらも、なぜそれらが必要であるかまでには理解が達していないようだ。
「過去に導入したセキュリティ製品について、『効果がわからない』『費用対効果が見えない』という声も多いですね。この背景には、中小企業への導入を担当した企業も同じく中小企業で、導入効果を可視化するまでフォローできていないことがあります」と真田氏。
結果的に、クライアントPCにウィルス対策ソフトをインストールし、あとはルータに頼るばかりとなっている企業が多い。さらに、ウィルス対策ソフトの管理も導入からしばらくすると機器のリプレースや追加が重なって煩雑化する。
「たった10台のPCだからと自社で管理しようとして苦労している話も聞きます。中小企業にとってセキュリティ管理は大きな負担となっているのです。そこで、われわれはフルマネジメントサービスを提供しようと決めました」と真田氏は語る。
マネジメント・ログ集積/レポート・24時間監視を安価に提供
同社が提供する新サービス「WatchGuard MSX」は、安価ながら高性能で定評のある同社のUTM「WatchGuard XTM」を中心に据え、そのマネジメントとログ集積・レポート、24時間監視をトータルで提供する。企業は手軽に安心安全を手に入れられるというわけだ。
マネジメントサービスでは、リモート環境から導入設置支援サービスを提供。運用が開始されてからは、ファームウェアの動作検証確認をしたうえでのメジャーバージョンアップやセキュリティポリシーを含むXTMの設定変更などを行う。また、障害・サポート問い合わせの窓口ともなる。
ログ集積レポートサービスでは、サーバに転送されたログを集積し、分析結果をレポートとして提供する。レポートはブラウザで閲覧可能だ。グラフを多用したグラフィカルなレポートは、詳細な知識がなくても内容を把握でき、費用対効果を実感しやすい。
24時間監視としては、リモートによる自動監視が行われる。機器に異常があるかどうか死活監視を行い、異常が発生した時は担当者の携帯電話やスマートフォンにメールで知らせる。さらに、CPUやメモリの負荷率、パケットエラー、トラフィックの監視も行い、閾値を超えた場合に通知することも可能だ。そして、ネットワークの復旧も監視センターからサポートする。
「WatchGuard MSXには、社内にIT部門を持つのと同じ効果があります。IT部門のアウトソーシングと考えてもらえばよいでしょう。お客様はログレポートを見るだけでよく、更新パッチをあてるといった作業は不要です。XTMのハードウェアが壊れてしまった場合は発送してもらう必要がありますが、ITに関する知識はまったく必要ありません」と真田氏は語る。
質の高い専門サービスを手頃な価格で中小企業に使ってほしい
「WatchGuard MSX」は、導入するユーザー企業だけでなく、中小企業への導入を行うITベンダーにとっても有用だ。なぜなら、自社でサポートサービスを提供できなくても、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンがすべてのサービスを提供するからだ。
「中小企業でも大規模企業と取引する際に、大企業並みのセキュリティを求められます。また、企業規模と保有する情報の重要性は関係ありません。小さな病院でも重要な個人情報をたくさん持っていますよね。ですから、中小企業だからといってリスクのある状態を放っておいてはいけないのです」と真田氏は指摘する。
そして、「WatchGuard MSX」はリーズナブルであるのも特徴だ。ユーザー数に比例して利用料金が変化するだけで、小規模導入だからといって割高になることはない。
「自動監視を活用することでコストを下げ、専門家ならではの質の高いサービスを安価に提供しています。フルサービスがついたUTMはすでに提供されていますが、中小企業が手軽に使える価格のものはありませんでした。われわれは困っている人につけこむようなことはしたくありません。高機能なUTMはサポートなしで使いこなせるものではありませんが、置いてあるだけでは無意味なもの。サポートを受けてしっかり使いこなしていただきたいのです」と真田氏は熱弁をふるった。
UTMのサポートサービスは多くのITベンダーが提供しているが、UTMを使いこなすには利用状況をログから把握し、細かな調整を加えることが必須だ。その点「WatchGuard MSX」を利用すれば、企業のヒアリングを行い、テンプレートをベースにアドバイスもしてくれる。細かな要求にも対応してくれるから、正に社内にIT部門ができたような感覚が得られるはずだ。
「PCに詳しいこととセキュリティに詳しいことは別です。『PCに詳しいから』と社内のセキュリティ関連業務を担当させられている人が中小企業にはよくいますが、これは問題でしょう。ぜひ、セキュリティの専門家である私たちにまかせて、本来のビジネスに専念してください」と真田氏は語った。