居丈高な態度は自信のなさの裏返し

仕事をしていてまたは仕事以外でも人と話をしていくうちに「この人は自分に自信がないんだなあ」と感じることがあります。威張っている人、自己顕示欲の強い人はその典型だと思います。自分に自信がないことを認めたくなくて、虚勢を張ったり、必要以上に自己主張したりします。人をよく馬鹿にする人もそうです。自分より「下」を自分の中に作ることによって相対的に自身の位置を「上」にして自分に自信を与えたいのです。

かくいう私も以前は自分に自信が持てませんでした。強い自己顕示欲を持ちながらも自分に対する自信のなさから自己主張が出来ずに不満を抱えたり、時には必要以上に謙虚だったり、消極的だったりとかなりの自己矛盾を抱えていたのです。こうしたことが自分にとってさまざまな問題を引き起こしていました。

  • 他者に対して強く自己主張できない分、気兼ねなく話せる家族や友人に対して強い自己主張をしてしまう
    →理由: 「安全な人達」に対して自己主張することで、自分に自信がない不安を払拭するため
  • 間違っている考え、矛盾した考えなどに気付きながら、それを相手に適切に伝えられない
    →理由: 自分に対する自信のなさから「自分の気づきは間違っているのでは…」と思ってしまう
  • 相手がある人を高く評価する話を聞くと「そんな人、大したことない」と心の中で思ってしまう
    →理由: 他者との比較によって自己評価し、自己に対する自信を得ようとしているので、他人の高い評価を聞くと自己不安になる

こうしたことが起こったとき、私は例外なく、とてもいやな気分になったものです。当時はなぜいやな気分になるのかがわかりませんでした。自信が持てない自分に対する自己嫌悪で気分が悪くなっていたと気づいたのは、だいぶ後になってからでした。

短所は"知るだけ"でいい

自分に対する自信を付けるためには自己を理解することが重要です。自分はどういう人間なのか、長所と短所は何か、これらがわかることで自分に対して自信が持てるようになるはずです。

数字や計算が苦手なのに、経理や財務の仕事をしていたら自分に対する自信をなくすばかりです。まず、自分に向いている仕事、自分が好きな仕事は何かを理解し職業を選択すること、そして、第二に自分がする仕事そのものの長所(たとえば、早さ、正確さ、創造性、独創性、的確な判断力、交渉力など)と短所(遅さ、曖昧さ、平凡、紋切り型、人に対する弱さなど)を理解する必要があります。

仕事に対して真摯な姿勢で取り組んでいるという大前提がある限り、その長所と短所を"知るだけ"で自分の仕事に自信が持てるはずです。「短所がわかったら、それを直さなければ自信なんて持てるはずがない!」と考える方もいると思います。欠点を直そうとする努力はもちろん重要で大切ですが、「自信を持つ」ためにはそこまでする必要はありません。ただ単に「知る」だけで十分です。

なぜ自分の仕事を「知る」だけで自信が持てるのか、例をあげてみましょう。あなたは化粧品の販売員です。次のどちらの説明が自信を持って化粧品を販売できるか考えてみてください。

  • この化粧品は保存料や着色料といった添加物はいっさい含まれていません。材料はすべて自然のものです。また材料そのものの生育に対しても化学肥料等人工的なものを極力排除した本当の自然化粧品です。

  • この化粧品は保存料や着色料といった添加物はいっさい含まれていません。材料はすべて自然のものです。また材料そのものの生育に対しても化学肥料等人工的なものを極力排除した本当の自然化粧品です。ただし、それ故他社より価格的には高額です。また、添加物が含まれていないため保存する温度や湿度に気を付けてもらいたいし、使用方法も他社製に比べるとちょっと複雑な点があります。

長所のみを謳った1より短所についても指摘されている2のほうが自信を持ってお客様に説明販売できるはずです。人間は本質的には実に正直な存在なので、商製品、サービスの表面的な内容や、長所、利点を知っているだけでなく、短所も含め真に理解して、はじめて自信を持って販売できるものなのです。お客様に適正に説明する(不必要に短所や欠点を強調することなくあくまで適正に!)ことで「だまし」や「取り繕い」がなくなるのです。これが自信を持って説明販売できる理由です。そしてこの自信がお客様との信頼関係に直結するのです。