2018年2月28日~3月2日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている、新エネルギーに関するさまざまな製品や技術などを扱う展示会「スマートエネルギーWeek 2018」において三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は「Jシリーズガスタービン」や、同社が取り組む「福島復興IGCC(石炭ガス化複合発電)プロジェクト」に関するパネルなどを展示している。

Jシリーズガスタービンは、実績のあるG型ガスタービンに、国家プロジェクトとして実施した「1700℃級ガスタービン技術開発」の成果である高温化要素技術を適用し、タービン入口温度1600℃を実現するもの。また入口温度の上昇にも関わらず、G型並の翼メタル温度を実現している。

  • MHPSの「Jシリーズガスタービン」

    「Jシリーズガスタービン」の模型(1/15サイズ)

このタービンでは、第1~第4段動翼には空冷翼を採用し、外部の冷却機で冷却した圧縮機吐出空気により冷却している。同様に第1~第4段静翼も空冷翼であるが、第1段静翼は、圧縮機吐出空気、第2~第4段は圧縮機中間段からの抽気で冷却しているとのこと。

同シリーズは、出力の異なる「M501」(ガスタービン単体出力:33~40万kW)、「M701」(ガスタービン単体出力:48~49万kW)の製品群からなり、そのどちらもコンバインドサイクル効率は60% 以上、累計運転時間50万時間超という優れた性能を有している。

また、IGCCは、石炭をガス化し、ガスタービン複合発電(GTCC)技術を適用した最新鋭の石炭火力発電技術だ。従来の石炭火力圧電に比べて発電効率が高く、CO2排出量が少ないなど、環境への負荷が少ないことが特徴となる。

  • IGCC(石炭ガス化複合発電)

    IGCCのシステム構成。石炭をガス化炉でガス化し、精製設備で精製したのちに、複合発電設備に供給し、ガスタービン、および蒸気タービンで発電するというもの (画像はブース内のパネル展示より)

福島復興IGCCプロジェクトとは、2011年に発生した東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県において、IGCCの建設工事、資材発注および運用後の定期点検などを実施することで、被災地での産業基盤の創出を目指すもの。

この福島IGCCプロジェクトにおいて今後は、2020年に福島県・勿来(なこそ)町、2021年に福島県・広野町において、定格出力543MW(発電端)のIGCCの運転が開始される予定となっている。