本連載は、小さなコトから大きなコトまで、節電に役立つトピックを紹介していくコラムだ。今やオフィスにおいて「PCを使わない」という選択肢はない。蛍光灯のように、「PCの台数を半分に間引きましょう」なんてことはできないのだから、うまく省エネしながら使っていくしかないというわけだ。では、どうしたらPCの省エネができるのだろうか?
まず、シンプルなところでディスプレイの輝度設定を変えよう。最近では、「テレビの輝度設定を変更することで家庭でも節電できる」ということが話題になっているが、PCのディスプレイだって同じだ。暗い設定にすると色鮮やかさなどは失われるものの、実は目も疲れづらくなる。デザイン関係など、色の再現性が重要な業種でなければ、1度暗めの設定を試してみよう。
もし、機器を買い換えることまで検討するならば、ディスプレイはやはり消費電力の少ないLEDバックライトのものがオススメ。しかし、もっと大胆にPCそのものの買い換えを検討してみるのはいかがだろうか?
2000年代前半までは処理能力の向上とともに消費電力もぐんぐん上がっていたものの、最近では高性能ながら省電力というプロセッサが増えている。しかも、OSの省電力性能も向上している。Windows XPのデスクトップなど、電源がオフの状態でも2ワット以上使っているのだから恐ろしい。Windowsに関する細かな消費電力の設定はマイクロソフトが発表しているから、興味がある方はこちらを参照いただきたい。
さらに、プロセッサはデスクトップPC向けよりもノートPC向けのほうが省電力なので、可能ならばぜひノートPCを選ぼう。ノートPCは消費電力が小さいということに加え、バッテリーを搭載しているということがミソだ。今夏の電力状況を考えると、停電対策という点でも有効な選択のはず。
今求められている「節電」は、1日や1ヵ月のトータルの電力を減らすことではなく、ピークタイムの消費電力を減らすことだ。つまり、夜間は使ってもいいけれど、「昼間、特に午後の暑い時間はできるだけ使わないでね」ということ。終業時にデスクトップPCのコンセントを抜いたって意味はないのだ。逆に言えば、夜間にがっつり充電しておいたノートPCを昼間はバッテリー駆動で使うというやり方はかなりオススメだ。
大口需要家への節電要請は9時から20時までだが、この間で特にピークとなるのは13時から16時まで。大型のノートPCでも1時間半くらいはバッテリー駆動できるものが多いし、小型機なら3時間くらい持つものもある。例えば、部署ごとに1時間ずつバッテリー駆動にするだけでも消費電力は変わってくるはずだ。徹底するなら、予備バッテリーも用意して、昼間は全部バッテリー駆動にすると達成感がある。
ちなみに、PCのマシンはメーカーのカタログに表示されている時間ほど持たないのは、いわば"常識"だが、PCのレビュー記事などでは何の遠慮もなく使った場合のバッテリー駆動時間を調べている。こうした情報を参考にすれば、予想外にバッテリーが早く切れてしまうというガッカリ感も味わないで済むかもしれない。