ロボットによって日本を元気にするためのプロジェクト
さてまずNEDOにおけるロボット関連の実施事業についてだが、NEDOではロボットによる産業革命を押し進め、「ロボットによって日本を元気にする」ことを目標としている。2014年度現在は、まず4億円の予算を用いたロボット分野の国際研究開発・実証事業が行われているところだ(画像9)。その中には、独国におけるサイバーダイン製のロボットスーツ「HAL」(画像10)の国際研究開発・実証事業、NTTドコモ製通信機器を搭載したテムザック製の電動車いす「NRR(New Robot Rodem)」(画像11)を用いたデンマークでの介護サービス提供に関わる実証事業などがある。そのほか、老朽化するインフラを点検して、どこに問題があるかといったことを見つけ出し、また修繕を行うためのロボットならびにセンサ技術、イメージング技術の開発などもある。
ロボット分野の中でも生活支援ロボットに関しては、5年間かけて2013年度で終了した「生活支援ロボット実用化プロジェクト」があったが、そこに至るまでには20世紀末から続く長いさまざまなプロジェクトが段階を追って組まれてきた(画像12)。
例えば、産業技術総合研究所が開発した有名なロボットたちに2002年12月発表の「HRP-2 PROMET(プロメテ)」(画像13)や2009年3月発表の「HRP-4C 未夢(みーむ)」(画像14)といったHRPシリーズがあるが、これは1998年度から2002年度までかけて46億円の予算をかけて行われた最初期のプロジェクト「人間協調・共存型ロボットシステム研究開発(HRP)」によって誕生したロボットたちである。同プロジェクトは、人間と協調・共存する高安全性および高信頼性のロボットシステムの開発を目的としたものだった。
画像12(左):これまでのNEDOのロボット開発と今後の課題としたプレゼン画像。画像13(中):PROMET。産総研と川田工業を中心にして開発され、発表からすでに12年目となっている今でも現役として、各所で活躍しているヒューマノイドロボットだ。画像14(右):未夢。現在、アクトロイド(ジェミノイド)-Fシリーズと並ぶ、日本の女性型アンドロイドの双璧 |
それを受けて、70種類以上のロボットを開発して愛知万博で長期運用するために行われたのが、2004年度から2005年度までの「次世代ロボット実用化プロジェクト」(38億円)である。その後、ロボットはヒューマノイドだけではなく、姿形を変えて人の生活のさまざまな部分にロボットを入れていこうとして、福祉介護分野での利用を想定した研究開発として2005年度から2007年度までに行われたのが「人間支援型ロボット実用化基礎技術開発」(26億円)。
同様に、具体的な用途を想定したステージゲート方式による実証開発として、2006年度から2010年度までに行われたのが「戦略的先端ロボット要素技術開発」(40億円)だ。そして、安全性、検証手法開発や基準・標準の作成などを目的として66億円の予算が投入されたのが生活支援ロボット実用化プロジェクトである。そこで一区切りとなり、これまでは市場に出す仕組みや仕掛けが不十分であったのに対し、サービスロボットの市場化・事業化を目指し、安全性の面などを考慮し、実証の段階に持って行こうとしているのが現在のフェーズというわけだ。