ビット・エラー・レート・テスタ(BERT)/パターン・ジェネレータ

BERT(写真6-3)は、パターン・ジェネレータとエラー・ディテクタで構成されます。前者は所望のデータ・レートでシリアル・ビット・ストリームを生成し、後者は入力されたデータを期待値とリアルタイムで比較することでエラーを検出し、累積したエラー数を測定した全データ数で割ることでエラー・レートを求めます。

この際、コンパレータの比較点を時間軸や垂直方向に少しずつ移動させる(スキャンさせる)ことで、アイ・ダイアグラムやUI内の各点でのエラー・レートの傾向を求めることができます。このエラー・レート結果からジッタを測定することも可能です。

写真6-3 ビット・エラー・レート・テスタ。ジッタを印加でき、26Gbpsまでのビット誤り率を測定できる(テクトロニクスBSA260C型)

パターン生成時にジッタなどのストレスを印加することで、レシーバおよびジッタ・トレランス・テストにも使用されるようになりました。図6-11~16が代表的な設定画面です。

生成するシリアル・ビット・ストリームは、ハードウェアによる2n-1ビット長の疑似ランダム・シーケンス(PRBS:Psuedue Random Bit Sequence。n=7、11、15、20、23、31など)やあらかじめエディタで作成したり、実際のビット・ストリームを取り込んだりしたパターンを生成できます。

生成された信号へのディエンファシス/プリエンファシスの付加は外部ユニットで行います。またチャンネル特性は外部の基板やケーブルを使用します。基板の例は「8 シリアル・インタフェースの物理層を形成する3大要素 - チャンネル(1)」に登場した基板が一例です。USB3.0ではUSB-IFが販売しているテスト・フィクスチャに含まれています。

図6-11 パターン・ジェネレータ画面:データ・レートやデータ・パターン、出力レベルを設定

図6-12 ジッタ印加画面。ランダム、正弦波など信号に重畳するジッタを設定

図6-13 エラー・ディテクタ画面。典型的なテスト・パターンでは期待値データを自動認識し、エラー数、BERを表示

図6-14 ジッタ・トレランス画面。レシーバのジッタ耐性評価用

図6-15 トータル・ジッタ測定画面。UI内をスキャンして各ポイントのビット誤り率(BER)を測定

図6-16 ジッタ測定画面。ジッタ量を成分ごとに分離し表示

任意波形ジェネレータ

任意波形ジェネレータ(写真6-4)は、あらかじめ用意しておいた波形データをリアルタイムでD-A変換し、アナログ波形として発生する信号発生器です。

写真6-4任意波形ジェネレータ。ジッタのみならず、基板/ケーブルの損失、クロストークを加えた信号を生成できる(テクトロニクスAWG7122C型)

データとして用意さえすれば、あらゆる波形を発生することができ、高速シリアル・インタフェースでは、ジッタやディエンファシス/プリエンファシス、伝送路の特性、SSC、シンボル間干渉、さらにクロストークを加味したシリアル・ビット・ストリームを生成できるソフトウェアも用意されています(図6-17)。

図6-17 任意波形ジェネレータ用のジッタ生成ソフトウェア(テクトロニクスSerialXpress)