世界最大級の半導体産業イベント「SEMICON」。2014年は2月の韓国を皮切りに、世界8カ所にて開催中だ。そして、その最後を飾る「SEMICON Japan 2014」が、東京ビッグサイトにて2014年12月3~5日に開催される。テーマに「without limits」を掲げ、新たなイノベーションを生み出す場として生まれ変わろうとするSEMICON。その目指す方向と、今回の内容について主催者であるSEMIジャパンの代表、中村修氏に解説いただいた。
日本の半導体業界が持つポテンシャルを示したい
SEMIジャパン 代表 中村修氏 |
近年の半導体産業は、中国や韓国、そして台湾などのアジア諸国が台頭し、日本はやや下降気味であると言われている。「ですが、日本の半導体産業が持つ製造ポテンシャルは、いまだに世界一位であり、市場全体をリードしていく立場にあると考えています」と中村氏は語る。
「例えば、2013年における半導体製造装置の売上上位10社のうち、4社は日本企業※が占めています。半導体材料のマーケットシェアも50%以上が日本企業です。製造装置、材料、そこに日本が持つ高い技術力が重なれば、日本の半導体産業は世界のトップを維持し、さらに発展を遂げて行くはずです。」(中村氏)
「SEMICON Japan 2014」のテーマである「without limits」。そこには、「テクノロジーとそれが導く未来に限界はない」という想いと「日本の半導体産業が、限界を超えて成長して行く未来を、今回のSEMICON Japanで示したい」(中村氏)という、決意が込められている。
※参考:
Gartner 2014年4月7日付プレスリリース
これからの半導体産業をリードするキーワード「IoT」
「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」とは、世の中にある さまざまなモノをインターネットと接続させ、自動認識や遠隔操作などを可能とする技術のこと。生活家電、住宅、自動車などの生活に密着したものから、環境、医療、教育、交通などの公共サービスまで、さまざまな領域において革新的なサービスの創出が期待される、今もっとも注目されるキーワードだ。
「これから先の半導体産業はIoTが大きな牽引役となります。そこで今回のSEMICONでは、特別展として「World of IoT」を開催し、各産業分野をリードする企業に出展と講演をいただくことになっています」(中村氏)
特別展「World of IoT」ではカーエレクトロニクス、ヘルスケア、3Dプリンタ、セキュリティ、センサー、MEMSなど、これまでのSEMICONでは見られなかった分野からの出展・講演・フォーラムなどが予定されている。
「IoTには、さまざまな分野に対応する多様性が求められます。そしてそれは、日本の半導体産業が最も得意とする領域です」と中村氏は語る。
例えば、独立行政法人である産業技術総合研究所(産総研)が、2010年より進めているミニマルファブという技術がある。これは、巨大化する一方の半導体製造工程規模を、1工場から1部屋レベルにまで縮小することを目的としている。ミニマルファブが実現すれば、小規模化によって無駄を大幅に省き、小ロットの半導体生産が可能となる。
「今回のSEMICON Japanでは、ミニマルファブに関する展示も予定しています。日本が持つ半導体技術の結晶とも呼べる技術を多くの方にご覧いただきたい、そう考えています」(中村氏)
明るく楽しい未来が体感できる「イベント」として
今回の「SEMICON Japan」では、特別展「World of IoT」以外にも、さまざまな催しが予定されている。
各分野におけるキーパーソンが集うカンファレンスイベント「Super THEATER」。これを含め、会場内の各所で開催される総計100時間を超えるセミナー&イベント。そして、新時代の若手エンジニアを育成するための講座など盛り沢山である。しかも、それらのほとんどは無料で参加可能となっている。
「今回は、開催38回目にして、初めて東京ビッグサイトで開催することになりました。幕張メッセで開催されていた昨年までと比べると、より気軽に参加していただけるようになったと思っています。新しい技術を体感し、明るい未来を予感させる、そんなワクワクするようなイベントとなっています。皆さん、日本の半導体の未来を、ぜひ見に来てください!」(中村氏)
SEMICON Japan 2014
開催日程:12月3日(水)~5日(金)
会場:東京ビッグサイト
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■「SEMICON Japan 2014」出展予定企業 2014年9月26日時点
アドバンテスト、東京エレクトロン、トヨタ自動車、ニコン、三菱重工業など、計520社