前回は、半導体製造の8工程のうち6つ目となる、半導体の内部に電流を流すための経路を作成する「配線工程」についてご紹介しました。今回はその後の工程となる「テスト工程」をお届けします。
完璧な半導体を選ぶためのテスト工程
テスト工程とは、さまざまなプロセスを完了した半導体チップが良好か不良かを判断するプロセスです。半導体チップが一定の品質レベルに達していて、不良品がないことをチェックし、チップの信頼性を高めることを目的とします。同工程では不良品を検出し、それらのパッケージングを避けることでコストと時間を削減します。今回は主に、ウェハ状態でテストを行う電気的ダイソーティング(EDS)について説明します。
電気的ダイソーティング(EDS:Electrical Die Sorting )とは?
EDSは、電気的特性の検査を実施し、各チップのウェハ状態でテストすることにより、半導体の歩留まりを改善させることを目的としたプロセスです。EDSプロセスは下記の5つの段階に分かれます。
工程1:電気的パラメーターモニタリング(EPM:Electrical Parameter Monitoring)
EPMは半導体チップテストの第一段階です。半導体集積回路の動作に必要なトランジスタ、コンデンサ、ダイオードなど各デバイスの電気的特性をテストし、それらが機能するかを調べます。EPMの主な目的は、不良品を見つけることではなく、計測した電気的特性のデータを提供し、半導体製造プロセスの効率および製品の性能を向上することです。
工程2:ウェハバーンイン
半導体の欠陥率には初期段階での高い製造欠陥率と、後の段階での製品寿命に起因する欠陥率があります。ウェハバーンインは、製品の信頼性を向上するために、初期段階で起こりうる欠陥を検出する段階で、一定の温度下でAC/DC電圧をウェハに印加します。このプロセスでは潜在的な欠陥を検出し、製品の信頼性を効果的に向上します。
工程3:テスト
ウェハバーンイン段階の後は「プローブカード」を使用し、半導体チップをテスト装置に接続して、半導体の動作を調べるためにウェハに温度、速度、動作に特化したテストを行います。各テストの手順は表をご参照ください。
工程4:リペア
リペアのプロセスはテストの中でも最も重要な段階です。場合によっては、不良チップはチップに設計されたスペアセルを使用して修理されます。
工程5:インキング
電気的テストで不合格となり初期段階で選り分けられたチップは、区別するために印を付ける必要があります。過去にはインキング段階で特殊なインクを使用することで欠陥チップを肉眼で識別できるようになっていましたが、現在ではシステムがテストのデータ値に基づいて自動的にチップを選別します。
次回は、半導体製造工程の最終段階である、半導体チップを機器に組付け可能な状態にする「パッケージング工程」をご紹介します。
テスト工程関連用語
歩留まり
ウェハ上に設計されたICチップの最大数に対する、実際に製造された正常なチップの比率。インプットした量に対するアウトプットの量を意味する。
パラメーター
従前に定義されプログラムで使用された、コントロール可能な変数。
プローブカード
半導体の動作を検査するために半導体ウェハとテスト装置を接続するデバイス。プローブカード上のプローブ針が、ウェハに接触している間に電気を送り、返される信号に基づいて欠陥のある半導体を選別する。
(次回は2021年4月に掲載します)