前回、本コラムにおいて、「私の人生では、節目節目で企画を提出して採用され、役職が上がるか、またはその企画の実行により成果を出して役職が上がっていること」を最もお伝えしたいと申し上げました。

そこで、2回目となる今回は、年収を上げるために必要な手段である「役職を上げる」についてお話します。

年収を上げるには、役職を上げることが一番確実であると思うのですが、問題はその役職の上げ方です。多くの社員は多かれ少なかれ、自分なりに頑張っています。役職を上げる立場からすると、他と比べて圧倒的な「何らかの違い」がないと、役職を上げにくいものです。誰かの役職を上げた際に、不満が多く上がる昇格は上長として避けたいからです。では、その「何らかの違い」とは何でしょうか?

私が考えた違いは「自分が立てた企画の採用とその成果」でした。多くのサラリーマンは上司に言われなければ企画を出しません。出したとしても、せいぜい上長から「何か企画はないか?」といわれる時くらいだと思うのです。年に1度の上長面接の際も、年度末半年前も、多くの方は企画を出していないのではないでしょうか。

つまり、多くの方が企画を出さないから、企画を出すだけでも「何らかの違い」になり、企画が採用され成果が出れば「大きな違い」になるわけです。

ちなみに、第1回で述べた「平社員・主任」「課長」「部長・執行役員」「取締役」のステップにおいては、上になればなるほど、企画力と実行力が求められるので、「企画」は役職を上げるにはもってこいであったりします。

勘がいい読者の皆さま気づかれたと思いますが、私が伝説といわれた年収を獲得した最大の要因は「企画」です。

私の企画が採用され、成功し続けたからこそ、年収が上がっていきました。大学時代に一流とは言えない大学を卒業した私は普通の頭の持ち主でした。そして、私は企画の天才でもありませんでした。

ただ、振り返ってみると、中学校の時から両親に「どこの高校に行きたいのか。企画を提出しなさい」と言われ、新聞広告の裏側の白紙の部分に高校進学の企画を書かされました。その後も折に触れ、親の許しを得る時には企画を提出していました。

この「企画提出の習慣」が私の社会人生に大きな影響を与えたと思います。この「企画提出の習慣」は私の子供たちにも当然、指導しています。興味がある方はぜひ、お子さまの教育の参考にされてはいかがでしょうか? 良い結果を生むと思います。

話は「企画の習慣」に戻って、子供の頃から企画を提出する習慣があったので、新人の頃から上長に言われなくても自分の職場環境を変えるための企画を提出していました。この「上長に言われなくても企画を提出すること」が重要だと思っています。しかしながら、企画を書いたことがない方にとって、企画を出すことはもちろん、企画を習慣化することはもっと難しいと思っています。

さて、「企画の習慣化」の話ですが、企画を出し続けてまったく効果がなかったら、なかなか続けられないですよね。続けられないと習慣にはなりません。

話はいきなり給与の話になりますが、年収800万円の人が1回の転職で年収1000万円になれるチャンスはありますが、年収500万円の人はどんなに実力があってもいきなり年収1000万円にはなりません。

その理由は、多くの企業では現状の年収のプラス20%くらいを上限に採用しているからです。採用する側もサラリーマンなので、自分の責任で20%以上の年収アップで採用はしません。万が一、その人が活躍しなかった場合、採用者が責任を問われるからです。

そのリスクを考え、前例から判断し、20%程度の増減の年収幅で雇用するようになっています。つまり、いきなり年収は上がらないので、着実にステップアップしていかないと高年収にならないのです。したがって、高収入を実現するには、昇給の継続が前提になります。

50歳くらいの人が年収600万円程度の企業があったとします。そのペースで昇給している企業に長く働いている場合、若い時に転職しないと、年収1000万円になる可能性は低いです。おそらくですが、その企業にいても役員にならないと、年収1000万円には到達しない気がします。その企業では、40歳で年収500万円程度ではないでしょうか。

例えば、その企業の社員が40歳の時に転職して20%増の年収600万円になり、そこで3年働いて再度転職して20%増の年収720万円になり、さらに3年後に転職して20%増になったとして864万円です。40歳から3回転職に成功してようやく864万円なのです。

3回連続で成功することも難しいうえに、分別がある40代で3年おきに転職している人はおそらく信頼されないと思います。そのような人はコネがない役員にはなれないので、取締役という肩書が生涯付かないでしょう。日本の企業では、役員にならないと年収1000万円にはなかなかならないですよね。年収が高くないから悪い企業とは言いませんが、ある程度年収が欲しい方にとっては転職を考えなければいけないかもしれません。

次回からは「伝説といわれた給与を獲得したノウハウ」をお届けします。

著者プロフィール

吉政忠志

業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、プライム・ストラテジー株式会社 取締役、一般社団法人PHP技術者認定機構 代表理事、一般社団法人Rails技術者認定試験運営委員会、BOSS-CON JAPAN 理事長、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事を兼任。