「BYOD」とは、私物のスマートフォンやタブレット、ノートPCなどを持ち込んで、業務に利用すること。「Bring Your Own Device」(自分の端末を持ち込む)という言葉を略したものだ。海外のレストランで、アルコール類の持ち込みを許可する「BYO」(Bring Your Own)が語源となっている。

「BYOD」は、従業員と企業の双方にメリットをもたらすと言われている。従業員にとっては、普段から使い慣れている端末を利用することで、業務効率が向上すると期待できる。一方、企業にとっては、コスト削減に直結するメリットがある。企業が私物端末を解禁すれば、支給端末の調達費用や通信費などを抑えられるのだ。

このように導入効果の大きい「BYOD」だが、深刻なセキュリティリスクもたらす危険性があることを忘れてはならない。例えば、ウイルスに感染した私物端末が社内ネットワークにアクセスした場合、機密情報の漏えいにつながる可能性がある。そのため、「BYOD」を推進する企業にとって、セキュリティソリューションの導入は必須と言える。

そこで現在、「MDM」(Mobile Device Management)が市場で注目を集めている。「MDM」は、企業のセキュリティポリシーに沿って各端末を管理するという考え方だ。一般的な「MDM」の例を見ると、端末にエージェントソフトをインストールして企業側が一元管理する「エージェント型」、端末の基本機能で管理を行う「エージェントレス型」の2つに分けられる。

セキュリティ対策という観点で「MDM」を見ると、各端末にウイルス対策アプリをインストールして企業側が一元管理できるほか、リモートロック/ワイプ機能やパスワードロックによって、紛失・盗難時の情報漏えいをあらかじめ防止することが可能だ。また、カメラやSDカードなど業務に不要なデバイスを制御する機能、ゲームアプリの利用制限機能などを備えているソリューションもある。

さらに「BYOD」に特化したソリューションとして、「ビジネスモード」と「プライベートモード」を切り替えられる製品も登場している。例えば、企業ネットワークにアクセスしている場合は「ビジネスモード」、それ以外のネットワークにアクセスしている場合は「プライベートモード」へ自動的に切り替わるというのだ。

「BYOD」を運用するためには、ソリューションの導入はもちろんのこと、社内ルールや運用ポリシーの策定なども必須となっている。これらの取り組みを整備すれば、生産性の向上やコスト削減など、大きなメリットを得られることだろう。