「ネットバンク不正送金」とは、インターネットバンキングの口座から不正に現金が送金されてしまう事件のこと。2012年、銀行などの金融機関が運営するインターネットバンキングで、顧客の預金が第三者へ不正送金される事件が相次いだ。今後も同様の手口を使った犯行が広まると見られ、各金融機関では、ホームページなどを通じて注意を促している。
具体的な手口としては、ユーザーがインターネットバンキングの正規サイトにログインすると、第二暗証番号や秘密の質問、顧客情報などを要求する偽のポップアップ画面が表示される事象が明らかとなっている。ユーザーはインターネットバンキングの正規サイトにログインした安心感から、思わず情報を入力してしまうというのだ。その後、入力した個人情報が犯人側のサーバーに送信され、多額の現金が引き出される事態に陥っている。
ポップアップ画面が表示される原因として、コンピュータウイルスによる感染が疑われている。あるセキュリティベンダーによれば、2012年の「ネットバンク不正送金」で猛威を振るったのは、「Trojan.Zbot」と呼ばれるウイルスの可能性が高いとのことだ。「Trojan.Zbot」は、侵入先のパソコンから情報を盗み取ろうとするウイルス。被害者が感染した経緯は明らかにされていないが、迷惑メールやTwitterに記載されたURLを通じて、不正なWebサイトへ誘導された可能性もあるという。
「ネットバンク不正送金」への対策として、警察庁では、(1)ウイルス対策ソフトを導入すること、(2)不審なWebサイトにアクセスしないこと、(3)不必要なプログラムや信頼できないWebサイトからプログラムをダウンロードしないこと、(4)不正な入力画面が表示された場合は、個人情報を入力する前に金融機関などへ通報すること、という4点を呼びかけている。また、各金融機関のホームページにも細かい注意点などが記載されている。まずは自分が普段利用するインターネットバンキングの対応策をよく読んで、注意を怠らないようにしたい。