Facebookについては、お友達と距離を超えてオンラインでの交流ができるプラスの面と、個人情報やプライバシー情報を世界規模で収集しており、悪用されたとしたら恐ろしいというマイナスの面と、いろいろと議論があると思いますが、私自身は、その両方を考えた上でプラスの効果があると判断して活用しています。
そのFacebookで、とても多くの人が使っていると思いますが、本当は使用しない方がいいと思う機能がひとつあります。それは「連絡先をインポートして友達を検索」という機能です。
これは、「Gmail」「Hotmail」「Skype」など、Facebookではない、自分が使用している他のサービスのアカウントやパスワードの情報を教えることで、Facebookのロボットが、自動的に自分の利用履歴やアドレス帳などを参照して、お友達の名前やメールアドレスを吸いだすという機能です。Facebookアカウントを作ってすぐの方には、こんな画面が出ていると思います。それです。
すでにFacebookをかなり活用している人の場合には、こんな画面が出ますが、同じ機能です。
Facebookは、この吸いだしたお友達の情報を利用して、
(1)その人がすでにFacebookを使っている場合には、自動的に探しだしてお友達リクエストを出すことができる。
(2)その人がまだFacebookを使っていない場合には、Facebookへの招待メールを自動的に送信してくれる(しかも招待メールは複数回発信されます) のです。なんて、おせっかいな機能でしょうか?
※こんなメールがお友達から届いたら、その人が自分のアドレスをFacebookに渡してしまったということが分かります。
Gmailのアドレス帳といっても、全員がお知り合いとは限りません。この機能を使うと、思わぬ人に招待メールを出してしまったりする危険性が大きいです。また、業務で使用しているアドレス帳が吸いだされてしまった場合には、個人情報の目的外利用や無断での第三者提供にあたってしまうことも考えられます。
しかし、Facebookとしては、この機能こそが、会員数拡大を実現したキーとなる機能なのです。ですから、どれだけプライバシー団体に反対されようが、何があっても、この機能を皆さんに使わせないといけないのです。ですから、Facebookは何回も何回もGmailのパスワードを入れろとか、「お友達が待っています」とか言ってきます。しかし、これに答えることはおすすめしません。それは、銀行の暗証番号を教えろと言われてホイホイ教えているのと同じようなものと考えてもいいかもしれません。
あと、一つ気をつけたほうがいいのは、iPhoneなどのスマホでFacebookアプリを使用している場合には友だちリストの画面で「友達を検索」という機能をオンにするだけで、「連絡先をインポートして友達を検索」したのと同じことになってしまうことです。こんな画面です。
(古いバージョンでは「連絡先を同期する」となっており、より分かりにくくなっていました)
不安になった人は、下記のURLにアクセスしてみてください。自分がFacebookに渡してしまったお友達の情報が一覧できます。「インポートした連絡先をすべて削除する」こともできます。
https://www.facebook.com/invite_history.php
Facebookという仕組みはよくできていて、上記の「連絡先をインポートして友達を検索」という機能を使用しなくても、お知り合いの名前とかを検索してちょろちょろと友達登録していくと、そのうち、共通の友達などを推薦してくれるようになります。これで十分楽しめると思います。
執筆者紹介
中康二
オプティマ・ソリューションズ株式会社 代表取締役
多くの企業において、プライバシーマークの導入支援を行っている個人情報保護のプロ。著書「新版 個人情報保護士試験 完全対策」(あさ出版)、「〈図解〉個人情報保護法 - 中小企業・個人事業者にも役立つビジュアル対策マニュアル」(共著、朝日新聞社)など。
この記事は中康二氏が運営する「プライバシーマーク・個人情報保護blog @pmarknews」に掲載されたコンテンツを適宜編集部にて加筆・修正を行って転載しています。