介護食のイメージを変える
食べ物や飲み物をうまく飲み込めない「摂食嚥下(えんげ)障害(以下、嚥下障害)」。何らかの病気などで引き起こされることもあるが、加齢に伴い咀嚼や嚥下に必要な筋力が衰えてしまうことを理由に、高齢になって悩みを抱える人が多い障害である。→過去の回はこちらを参照。
特に高齢の家族と同居していたり、介護をしていたり、食事を囲む機会があったりする人は、高齢者が「食事をやわらかくしないと噛めない、飲み込めない」状況を見たことがあるのではないだろうか。
このとき、食事をやわらかくする=調理器具を使って食べやすい形にする、ペースト状にするなど、食事の“見た目”が原型を留めなくなることが大半だろう。食事の形状を変えることにより、何とか食べられるようになれば、栄養自体は摂取できる。
しかし、自分だけがみんなと違う見た目の食事をとることや、食事を視覚で楽しめないことに、高齢者本人がストレスを抱えることも。また、食事の準備をする人には手間や労力がかかる。