SCは研究論文が発表される学会であるが、研究機関が研究結果を展示し、メーカーが製品を展示してユーザにアピールする場としても重要な役割を果たしている。昔、米国の元副大統領であったAl Goa氏が基調講演を行った時、ここはSCに集まった皆さんのディズニーランドだと評したが、まさに、ここはスーパーコンピューティング関係者のディズニーランドである。
ただ、昔はIBM、Crayなどが最新のハードウェアを大量に持ち込んで展示していて見ごたえがあったが、最近ではコスト削減で、ハードウェアの展示が減り、端末でのデモやポスターや液晶パネルの展示が増えているのが寂しい感じである。
IBMは米国の次世代フラグシップスパコンの計算ノードを展示
IBMも端末でのデモが多い展示であったが、米国の次世代フラグシップスパコンである「Summit」の展示を行っていた。IBMは、かつては最大規模のブースを構えていたが、今年は1200平方フィートで中規模のブースであった。
Summitの筐体はモックアップ的な展示であったが、計算ノードとなるAC922サーバは実物を持ち込んで展示していた。
次の写真はAC922サーバで、一番手前の金色の四角いコールドプレートがPOWER9 CPU、その奥の8角形が3つ連なった金色のコールドプレートの下に3個のNVIDIA V100 GPUが置かれている。その左が2番目のPOWER9 CPUである。
CrayはARM CPU搭載のXC50を展示
スパコン専業メーカーのCrayは、ArmアーキテクチャのCaviumのThunder X2プロセサを搭載するXC50スパコンのブレードを展示していた。
XC50のブレードは、手前はAriesインタコネクトのLSIで、その奥に8個のThunder X2プロセサが見える。展示員に何がメリットなのかと聞いたところ、メモリチャネルが8チャネルあるので、6チャネルのXeonと比べてメモリバンド幅が4/3倍である。メモリバンド幅が重要なビッグデータなどを扱う顧客に売り込んでいくという答えであった。
CaviumのThunder X2の採用が進む
SC17では、CaviumのThunder X2を使うシステムは、CrayのXC50ブレードだけでなく、GIGABYTEのR281-T92サーバや台湾の鴻海系の会社であるIngrasysのデュアルソケットサーバOsmiumも展示されていた。また、HPEはApollo 70にThunder X2を採用している。
CaviumのブースにもCray XC50のブレードが展示されていた。Thunder X2はメモリチャネルを8本持っているので、プロセサの両側に4枚ずつのDIMMソケットが付いている。
The Machineのプロトタイプを展示していたHPE
HPEはメモリセントリックな情報処理を行う「The Machine」のプロトタイプを展示していた。また、CaviumのThunder X2プロセサを使うApollo 70も展示していたようであるが、HPEブースでは見逃してしまい、ここに掲げた写真はArmブースに展示されていたものである。
The Machineのプロトタイプの手前側はGen-Zで多数のノードを接続するスイッチで、奥の幅の狭い部分がThunder X2を使うノードである。DIMMに囲まれた奥の4個の小さいFPGAは大容量メモリのコントローラである。
Gen-Z コンソーシアム
HPEがメモリセマンティックのインタコネクトとして推進するGen-Zコンソーシアムのブース。
(次回は1月24日に掲載します)