液冷関係の展示
液体での冷却は、空冷に比べて大きな熱量を運ぶことができ、チップの温度を下げられる。チップの温度が下がると、漏れ電流が減って消費電力が下がる。また、故障率も低くなる。このため、スパコンでは液冷のマシンが増えている。IBM、Cray、富士通、NEC、EuroTechなどは自前で液冷のシステムを開発しているが、液冷技術を提供する会社も増えてきている。
ExxonMobilのSpectraSynというオイルを使い、サーバのプリント基板をジャブ漬けするシステムを販売するGreen Revolution Computingは、このところ連続して出展している。
また、ASETEKやCoolITは水冷のポンプやコールドプレートなどを提供している会社である。台湾のMalicoも各種のコールドプレートを展示していた。
TSUBAME-KFCにも採用された油浸漬液冷のGreen Revolution Computingのブース。左の白い箱がオイル槽だが、2013年の展示はオイルは入っていなかった |
ASETEKの水冷ポンプと液冷サーバモジュール |
研究所の展示
2012年度は、他の政府機関が豪遊カンファレンスで高額の予算を使っていたというスキャンダルが明るみにでて、政府機関のカンファレンス予算が厳しく規制され、エネルギー省傘下の国立研究所の多くが出展を取りやめるという事態になった。
2013年はどうなるかと思っていたが、エネルギー省傘下の研究所全体をひとまとめにして展示を行っていた。大きなブースではあるが、何しろ17の国立研究所の展示を1ブースにしているので、各研究所が大きなブースを出していた2年前と比べると、展示できる情報量は大幅に少なくなってしまった。
一方、NASAは連邦直轄の機関であるので、エネルギー省全体と同じ額のカンファレンス予算を使えるようで、例年通りのブースを構えていた。
米国以外の研究所の展示も多いのであるが、ここでは、ドイツのシュツットガルトのHLRSのブースを紹介する。HLRSはドイツの自動車メーカーの空力シミュレーションなどを多く行っており、毎年、車を持ち込んでいる。
日本の大学、研究所の展示
SC13には、日本の大学や研究所も多くのブースを出している。できるだけカバーするようにしたのであるが、見逃してしまったブースもあるかも知れない。また、時間が無く、ごく一部のブースしか見ることができなかった。
筑波大学は、PCI ExpressをGPU間を直結するインタコネクトとして使うPEACH2(ハードウェアはFPGA)を開発し、これでGPU間をつなぐHA-PACS TCA(Tightly Coupled Accelerators)というシステムを展示していた。このシステムは今回のGreen500で3位を獲得している。なお、本来のTCAではK20xアクセラレータを使うのであるが、展示されたノードでは2台は新製品のK40が入っていた。
東京工業大学(東工大)のブースも講演があるときは大入りであったが,この写真を撮ったときは空いていて、額田先生がスタッフと打ち合わせをしていた。今回Green500でトップとなったTSUBAME-KFCのパネルが展示されていた。
東大のブースではenPitのクラウド教育の展示を行っていた。enPitは、分野・地域を越えた実践的教育共同ネットワークという活動で、全国15大学が協力して実践力を持つ情報技術人材を育成するというものである。その一環として、東大の平木教授のところではクラウド人材を育成するenPit Cloudを担当している。マザーボードを並べてネットワークで繋いでクラスタを作るという教育はあるが、その上に管理ソフトウェアやアプリを載せてクラウドを構築するところまでやる教育は他に無く、興味を示す人が多かったという。