HPCコンポーネントの展示
SC13の展示で一番興味深かったのはMicronの展示である。高メモリバンド幅のHMCは、富士通の次期スパコンプロトタイプをはじめとして5種のボードが展示され、業界の期待の高さを示したし、Automataも技術的に面白い。なお、これらについては、それぞれ詳しい記事があるので、そちらを参照戴きたい。
ここに写真を載せたのは、NVDIMMという製品である。形状は通常のDIMMと同じで、DIMMソケットに差し込んでDDR3 DIMMとして使用できる。しかし、DRAMに加えてNAND Flashメモリも搭載されており、電源が切れた場合、あるいはSMBからのコマンドでDRAMのデータをFlashに退避し、つぎに電源が投入されると、SMBからのコマンドでFlashからDRAMにデータを復元して動作を続けることができる。写真の右側に見える白い色のものはウルトラキャパシタで、ここに溜めた電気でFlashへの退避動作を行う。
RAIDディスクの書き込みバッファやストレージシステムのメタデータなど、電源断でデータが失われると被害が大きい部分への適用をターゲットにしている。
OracleはStorageTek部門のSL8500テープアーカイブシステムを展示していた。右の写真のように、ラックの左側部分の中央のシャフトの両側に磁気テープカートリッジを格納する多数の小間が並んでいる。中央の棒につけられたロボットハンドが回転したり、上下に移動したりして小間の中から目的のテープカートリッジを取り出してテープの読み書きを行う装置に運んでいく。
最小構成で1450本のテープカートリッジを格納でき、読み書きにT10000Dドライブを使うと1本のテープに8.5TBを格納でき、全体では12.3PBのデータを格納できる。最大構成では10万本のテープカートリッジを収容しExaバイトのデータを格納できる。
Intelは、2012年はXeon Phiの発表があり、盛り上がっていたが、2013年は目立った新製品の発表がなく、パートナー製品の展示という例年のパターンであった。また、AMDも同様である。
Texas Instruments(TI)はARM Cortex-A15 4コアと自社のDSPを搭載するSoCがHPのMoonshotサーバに採用され、そのカートリッジを展示していた。
SuperMicroはマザーボードのメーカーであるが、Green500のスポンサーになっている省電力にも熱心な会社である。ということで、同社のマザーボードはGreen Revolutionのオイル槽につけた状態で動作させても保証が付く。このため、東工大のTSUBAME-KFCではSuperMicroのマザーボードを使っている。
NVIDIAはTeslaアクセラレータK40と、統一メモリをサポートするCUDA6の発表が目玉である。最大規模のブースを構え、GPUテクノロジシアターなどで人を集めていた。
大型トレーラを持ち込んだのは、通信機器メーカーのExtreme NetworksとCienaである。荷造りして送って設置しなくても、走ってくればよいので、意外に展示は簡単なのかも知れない。
HPC用ストレージ大手のDataDirect、SSDの大手のFusion IOなど高性能ストレージのメーカーの展示は恒例である。また、CISCO、Ciena、Brocade、Alistaなどのネットワーク機器メーカー、HPCの標準インタコネクトとなった感のあるInfinBandの大手のMellanoxなども企業展示の常連である。
Microsoftは5年くらい前はHPCに熱心で、中央の入り口の前に最大規模のブースを構えていたが、このところHPCに対する熱意は低下しているようで,ブースの面積も縮小している。一方、分散メモリのクラスタを仮想化で共通メモリに見せるという製品を提供するScaleMPがMicrosoftの2/3の面積のブースを出していた。