既存システムの更改、新規のシステム構築といったさまざまな場面で、今「リユースサーバ」という選択肢が注目を集めている。いわゆる「新古」「中古」と呼ばれるハードウェアに対し、販売を行う業者が製品保証や保守サービスを提供することで、初期導入のコストを新品と比較して大幅に押さえつつ、業務で安心して利用できる環境を提供しているものだ。

リユースサーバでは、初期コスト面での有利さに加え、独自の保守サービスが受けられる点も特徴の1つに数えられる。メーカーのサポート年数を超えたハードウェアでも、セカンダリ市場から調達した部材を使った保守が可能なため、ユーザー企業では、ベンダーの製品投入サイクルに左右されることなく、自社のビジネス戦略に合わせた合理的なシステム投資が計画しやすくなるといったメリットも生まれる。こうした点から、リユースサーバに着目し、導入を進める企業も増えているという。

実際の導入を進めるにあたっては、コスト面に加え、製品の品質、導入後のサポート体制などを複合的に検証する必要がある。そうした評価を行ったうえで、リユースサーバの導入を決定した企業の1社が、フォスターネットである。

今回、フォスターネット、管理本部情報システム部主任の宮本大氏と、CPA担当の岡澤憲治氏に、同社でのリユースサーバ導入の経緯と、導入決定にあたって、どのような点を重視したのかについて話を聞いた。また取材には、今回、同社にリユースサーバの導入を行ったデータライブの代表取締役社長である山田和人氏にも同席いただいた。

フォスターネット

人材バンク型アウトソーシング及び優秀な技術者が集まる求人情報サイトを通じて、技術者に関する人事戦略を支援する豆蔵グループの企業。1996年設立、企業再編を経て、2009年12月に豆蔵ホールディングスの完全子会社となり、現在第2の創業期を迎えている。

先般、新たに立ち上げた転職祝金やスキルアップ研修などが特徴のITエンジニア専門の転職支援サイト「FOSTER CAREER」をはじめ、さまざまなシステム開発・運用プロジェクトが登録されているITエンジニア向け求人サイト「スキルサーフィン」、人材や組織のプロファイリングツール「CPA(Character Profile Assessment)ツール」などを運営している。

URL:http://www.foster-net.co.jp/

フォスターネットが抱えていた課題と、データライブの解決策

課題 解決策
仮想化技術により、社内で稼働する5~6台のサーバを1台の物理サーバに集約する予定だったが、信頼性とコストが大きな問題に。 リユース機器の活用で大幅にコストを削減したうえ、保守サービスも契約して障害時にすぐに部品を交換できる環境を整備。
無償の仮想化ソフトを使い、自分たちで導入作業を進めることになったが、導入予定のソフトウェアが間違いなく稼働するハードウェアを調べる術がなかった。 見積り時にデータライブが実機を使って対象ソフトウェアが正常に稼働することを確認。実際に検証を行ってもらったことで、安心して購入および導入作業を進められた。
プロジェクトの期間が限られるため、見積りから導入完了までをスピーディーに進める必要があった。 要望に適したハードウェアの選定や見積り作業が即日対応されたうえ、購入前にもかかわらず、電話での問い合わせにも丁寧に応えられたため、プロジェクトを円滑に進められた。

確かな技術知識に基づいた手厚いサポートがリユース導入のきっかけに

――フォスターネットの事業内容についてお聞かせください。

フォスターネット 管理本部情報システム部主任の宮本大氏

宮本 : フォスターネットは、ITスキルを持ったエンジニアと、彼らの力を必要としている組織とのマッチングを通じて、業界全体の活性化を図ることを目的に人材サービス事業を展開しています。システム開発関連事業で知られる「豆蔵グループ」に参画したのは2009年で、それ以降、同グループの情報システム子会社的な役割も担っています。

――今回、フォスターネットで導入したリユースサーバは、どのような用途に使われているのでしょうか。

宮本 : 導入した物理サーバは1台で、そこにウィルススキャンやパッチ適用など、社内インフラ向けにサービスを提供する5~6台のサーバを仮想化して集約しています。2011年10月からは、併せて部品保守契約も締結しています。近年、仮想化技術を使ったサーバ集約は、多くの企業でIT合理化に向けたトレンドになっていますが、フォスターネットでも、データセンターへのサーバ移管と、その際の運用管理コストを考慮した仮想化、集約化といった動きを並行で進めていこうという流れがありました。そのためのコンポーネントとして、データライブのリユースサーバを導入しました。

――仮想化を使ってサーバ集約を行う物理サーバには、高い信頼性と可用性が必要とされると思います。そうした用途にも、リユースサーバが適用できると判断したポイントはどこだったのでしょうか。

宮本 : 最終的には、「金額」と「サービス内容」のバランスがよかったことが挙げられると思います。データライブさんには、製品選定の段階から、われわれからの細かい疑問に対して、数多く相談に乗ってもらっていました。メーカーでは、サービスの対象が保守対象製品のみに限られてしまいますが、実際の現場では、原因の切り分けが難しい問題なども発生するケースがあり、そうした相談にも、できる限り対応してもらえた点が、非常に心強く感じました。

フォスターネット CPA担当の岡澤憲治氏

岡澤 : 今回の案件では、サーバの仮想化にあたって、ある仮想化ソフトウェア製品の無償版を利用することを計画していました。無償版ということは、当然ながらソフトウェアメーカー側の支援は受けられません。今回、その仮想化環境が、どのハードウェアで動作が可能かといったことを調べるにあたって、データライブさんが実機での検証なども行ってくれました。導入する立場としては、実機検証があることが非常に心強かったです。また、見積りを依頼したシステムよりも安価な構成をデータライブ側から提案してくれるなど、親身になって対応してくれました。

――リユースサーバというと、初期導入コストの安さを最大のメリットと考えがちですが、導入前から技術的な問題に対する疑問にも答えてもらえたことで、サポートに対する安心感が生まれたということですね。

宮本 : データライブさんの保守内容、サポート内容は非常に手厚いと思います。場合によっては、相談する側のこちらが「申し訳ない」と思ってしまうようなことまで、購入前から相談に乗ってもらっていました。最終的な業者の選定にあたっては、そうした積み重ねによるデータライブさんへの安心感、信頼感が大きかったと思います。また、窓口となってくれている営業担当者のシステムに関する知識レベルも非常に高く、技術的な相談も安心して行えました。

岡澤 : 製品の品質や、要件への適合性についても、事前に人手で検証がされていたため、不安はありませんでした。また、納品時の梱包といった細かい部分についても配慮がされており、業者として信頼できると感じました。

データライブ 代表取締役社長 山田和人氏

山田 : データライブの営業は、ソリューション営業とリテール営業の体制をとっているのですが、リテール担当は主に電話応対を通じて、ITハードウェアの販売を行っています。ITハードウェアというのは、説明商材に近い部分があって、販売する側もしっかりとした技術知識を持っていなければ、お客様にとって必要な情報を提供したうえで購入に進んでいただくことはできません。その点で、リテール営業の担当者には、ITプロのお客様にご納得いただけるレベルの技術知識を身につけることを求めていますし、そのための研修も行っています。

また、事前のハードウェア検証や納品時の梱包についてもご評価いただきましたが、特に大手のSIerのようなお客様は、そうした手順の明確化や品質について、高いレベルのものを求められるケースが多いのです。その点では、データライブがお客様に鍛えられていると言ってもいいでしょう。データライブの製品とサービスを導入し、リピートをかけてくださるお客様は、そうした部分を信頼してくださっているのかもしれません。

対応スピードの速さが生んだ信頼性

――今回の案件は、検討開始から導入まで、どのくらいの期間がかかったのでしょうか。

岡澤 :「1カ月以内には導入完了したい」という感覚で進めていました。事前に予算がついた導入計画であれば、その期のうちに時間をかけて製品選定が可能かもしれません。しかし、今回のケースでは、入れ替えの必要性に迫られていましたので、気持ちは急いでいるわけです。

実作業としては、事前に見積りをとり、それに基づいて費用感などを会社に説明したうえで、承諾を得つつ導入を進めるといったことが必要でした。とにかくスピーディーに事を運ばなければなりません。リプライに何日もかかるような業者では、実現できなかったと思います。データライブさんの対応が早かったからこそ無事に終えられました。

―導入後に、何か問題等はありましたか。また、その際の対応はどのようなものだったでしょうか。

岡澤 : 大きなトラブルは特にありません。ただ、実は納品日にHDDに簡単なトラブルが見つかったのですが、それについてはHDDのBIOSアップデートで解決できることが、データライブさんからその日のうちに伝えられ、問題なく稼働を開始することができました。問題はその日のうちに解決したのですが、念のためということで、代替のHDDをすぐに送付してくれたりもしました。また、その後、冗長化した電源の片方が故障することがあったのですが、そちらについても1週間以内に代替品を送付してもらい、問題なく交換することができました。

コストメリットとアフターサービスの安心感から適用範囲を拡大

――フォスターネットでは、これからのシステム計画の中で、リユースサーバをどのように活用したいと考えていますか。

岡澤 : 今後は、豆蔵グループ各社で更新を行うシステムについても、積極的にリユースサーバの活用を検討していきたいと考えています。クラウド化やサーバ集約の流れの中で、今後あらゆる企業で仮想化技術を積極的に活用していくことになると思います。もちろん、複数の仮想サーバを集約するという用途であれば、それなりに高いスペックを持った物理サーバが必要になるでしょう。高いスペックを持ったサーバを、よりコストメリットの得られる形で導入したい場合、製品保証やサポートのあるリユースサーバは、十分に検討の価値がある選択肢になると思っています。

――今後のデータライブに対する要望などはありますか。

宮本 : データライブさんではルータなどのネットワーク機器のリユース製品についてもマルチベンダーで扱っていらっしゃるようですが、そうした機器の連携についても検証等が可能なサービスがあるとうれしいですね。サーバであれば予備機の確保もそれほど難しくありませんが、ネットワークについては予備回線を確保してユーザーサイドで検証するということは非常に困難です。こうした相談にも乗ってもらえるようになると、さらにリユースの活用範囲が広がっていくのではないかと思います。