ITコストの抑制や機器の短期導入など、大きな効果をもたらすリユース(中古再生)サーバへの関心が高まっている。では、ユーザー企業においてリユースサーバはどう活用されているのか。今回は、リユースサーバの販売・保守を手がけるデータライブの山田和人社長と、リアル・イングリッシュ・ブロードバンドでネットワーク・セキュリティ・スペシャリストを務める櫻井知之氏に話を伺った。
リアル・イングリッシュ・ブロードバンド
「英語圏で現在使われている、生きた(リアルな)英語を学んでもらおう」という目的のもと、企業や教育機関向けに英語のeラーニングを提供する企業。ロンドンを本拠に日本、北京、上海、香港でサービスを展開し、トヨタ自動車、日立製作所、ソニー、武田薬品工業、ファーストリテイリング、楽天、全日本空輸といった主要企業300社超に導入実績を持つ。国内の受講者数は、2010年の1年間で約4万人、延べ10万人以上。
──まず担当している業務の内容を簡単に教えていただけますか。
櫻井: コンテンツ制作以外のすべてということになります。コンテンツは主にeラーニングの教材となりますが、これらは、英語の専門教育を受けたネイティブが中心になって制作します。そのコンテンツをサービスとして提供するためのインフラ全般が担当です。具体的には、サーバなどの機器の選定・購入、インフラ環境の設計と構築、データセンターでの運用保守などです。
山田: 実は、私のキャリアのスタートは、eラーニング企業のサーバエンジニアでした。ポジション的には櫻井さんと似ています。自社内に専用線を引き混んでサーバ環境を構築して、事業拡大にともなってキャパシテイが足りなくなると外部のデータセンターを借りて、1人でラック数本を管理したりと、とにかく苦労した経験があります。
櫻井: 非常に似ていますね。システムに関することは何でもやるというのが実情ですよ(笑)。アカウント管理や中国支社との間のVPN構築といった社内システムの管理も担当しています。
──リユースサーバを利用するきっかけは何でしょうか。
櫻井: 直接のきっかけは、開発用のサーバが急に必要になったときに、新品では納期がかかりすぎたことです。普通は3週間ほどかかるのですが、データライブさんは、即日とか3日とかで納品できた。「1週間でも驚きなのに、3日は早すぎだろう」と思ったほどです。とにかく、そのときは非常に助けられました。それから継続的に利用するようになりました。
山田: ありがとうございます。機器が故障してから必要になるお客様が多いので、すぐに対応できるような体制づくりに力をいれています。中古に対する抵抗感はなかったのですか。
櫻井: ありませんでしたね。もともと外国人の友人が多いせいか、「もし機器が足りなくなったらeBayで探せ」といったように、米国などでは中古市場が確立していることを知っていました。中古といっても、今の機器はHDDまわりを除くと、ほとんど故障することがありませんし、実際、現在稼動している機器のほうが中古よりも製造年が古いということもよくあります。価格や納期、故障率などを検討すると、特別の理由がない限り、最新のサーバを新品で買うより、中古を利用したほうがメリットが多いと思います。
──リユースサーバはどういった用途に使っているのですか。
山田: HPの「ProLiant DL360 G5」を2月、9月、10月にご購入いただいています。最新のG7から2世代前のサーバですが、人気モデルの1つ。この機種だけを継続的に購入されるのも、用途に合っているからでしょうか。
櫻井: そうですね。仮想化を行ったりする場合はコア数が多く、メモリも多く載せられるサーバが必要になりますが、そういう理由がない場合は、価格性能比がよいサーバを使ったほうがいいと思っています。現在は、G5をロードバランサ、キャッシュサーバ、開発用APサーバなどに利用しています。ロードバランサは、高速なコアがたくさんあっても使わないことが多く、キャッシュサーバも、ある程度のメモリがあれば十分で、ディスクも必要ありません。逆にこうした部分に最新の高性能サーバを使ってもメリットは得られません。
山田: リユースをお使いの方は、サーバ機器の仕様などにも精通している方が少なくありませんよね。加えて御社では、システム全体でOSSを活用されているとうかがいましたが?
櫻井: ええ。サーバ関係はFreeBSD、ネットワーク関係はOpenBSD、コンテンツ周りではRuby on Railsなどを利用しています。サーバとしては、WindowsやLinuxは使っていません。こうしたOSを使用した環境ではメーカーの正式なサポートを受けられないものですが、逆に言うと、リユースを使うことに対する障害もないと言えます。機器の特徴やメリットを自分で判断できる人は、どんどんリユースを使っていくべきでしょう。
──今後の展開と、データライブさんへの要望があったら教えてください。
櫻井: 英語の社内公用語化が話題になるなど、eラーニングに対するニーズが増えています。特に、コースを終了したあとも引き続きサービスを受けたいという方が増えていて、今それに対応できるように、システム全体のアーキテクチャを見直しているところです。
B2Cのサービスでは、コストパフォーマンスのいいサーバを並べてスケールさせる方法が主流になっていますが、そうしたアーキテクチャに変更するために、リユースサーバを増やしていこうとしているところです。データライブさんの良さは、ユーザーのニーズに合わせて、納期、在庫、保守サポートなど柔軟に対応していただけること。実は、こうしたことは、メーカーの正式サポートでは得られないケースがほとんど。これまでどおり、そうした柔軟な対応を続けていただけることを期待します。