今回は、海外の最新事例をご紹介します。
データセンター(DC)とその運用において、エネルギー効率改善のために重要な手段を講じることは、業界全体だけではなく、地球環境にも貢献することになります。LinkedInのオレゴン州ヒルズボロに建設された最新DCは「Uptime Institute Efficient IT Stamp of Approval (Uptime Institute社による効率的IT認定)」賞を受賞しました。
LinkedInの最新DC:知っておくべき重要なポイント
LinkedInは現在、全世界に4億5,000万人を超える顧客基盤を有しており、これは1秒間に約2人の新規ユーザーが登録している計算になります。ビジネスプロフェッショナルに特化したソーシャルネットワークとして重要な役割を果たしており、言うまでもなくそのDCも極めて重要です。
同社は、柔軟性と拡張性を実現すべく、DCの設計と実務を見直すための大規模な対策を講じてきました。
最新のDCが「Uptime Institute Efficient IT Stamp of Approval」を受賞した主な理由は、エネルギー効率に優れた設計にあります。LinkedInは極めて革新的なアプローチと高度なテクノロジーを採用し、面積あたりのコンピューティング能力を高めると同時に電力や、そのほかのリソースの効率を向上させています。
これを実現するため、LinkedInは高電圧入力のインテリジェントPDU(Power Distribution Unit: 電源コンセントバー)を採用しています。アウトレットごと(つまり、つながる負荷機器レベル)の測定といった機能が備わっており、DCのオペレーターは電力容量についての正確かつ実用的な情報をリアルタイムで得られるため、適切なタイミングで適切な決断を下せる体制が整いました。
高電圧入力のPDUとそのほかの関連するデバイスを導入したことにより、LinkedInはラックあたりに搭載するサーバー台数を倍増させ、物理的なスペースを最大限に活用しています。 また、電力回路の容量以上の使用によって生じるダウンタイムを防いだり、施設全体の省エネを実現する高度な方法を新たに発見したりしています。
オレゴン州ヒルズボロのLinkedInのDCはInfomart社がホスティングしており、エネルギー効率を考慮して構築されているのみならず、同社の全世界のポートフォリオの中でも、技術的に最先端のDCとなっています。オレゴン州でデビューした持続可能な新しい機械/電気システムは、同社が今後構築を進めるあらゆるDCの基準となるでしょう。
LinkedInの最新DCからは、重要な教訓を学び取ることができます。その構築方法や設計の目的は、インターネットと同様に進化していることが分かります。DCにおいて、エネルギー効率に優れた運用と高い柔軟性の実現は、相いれないコンセプトではありません。適切な機器選択と、いくばくかの先見の明があれば、双方を同時に達成できることは確かです。
- 本連載は米国ラリタン本社が運営しているブログを翻訳・転載したものです。