昨今、インターネットベースのコンテンツの需要増加や、より多くのネットワークがクラウドに直接入っていく潮流を受けて、エッジデータセンター(DC)が登場するようになったのは自然な流れです。
IoT(モノのインターネット)のような帯域幅を必要とするアイディアに対する簡単で概念的な対応として始まった「エッジ」DCは、その後すぐに誰も予測のできなかったものへと変わってきました。当初、エッジDCはコンテンツデリバリネットワークをよりよく見せるために誕生したかのように言われていた時期がありましたが、それほど長くは続きませんでした。
現在、私たちが目にしている新しいエッジ主導型のDCの世界は、これから先に認識しておくべき重要な意味合いを数多く含んでいるのです。
エッジデータセンターとは?
NetworkWorld.comの専門家によると、エッジDCと見なされるには、以下の7つの主要条件を満たしている必要があります。
- 置かれている場所が、ローカルの広帯域通信要件の50%以上に対応している。
- ローカルのインターネット使用量の75%を処理できる。
- 距離が重要な要因となり得るさまざまな広帯域アプリケーションに対応している。
- 主なカウンターパートに対して、コストとパフォーマンス上に大きなメリットを生み出す。
- リッチメディアのユーザーエクスペリエンスに責任を負う。
- 特にDDoSや類似のタイプの攻撃を隔離するという点で、セキュリティが強化されている。
- ティア3のDCである(つまり99.982%のアップタイムを保証している)。
これらすべての条件が満たされていないと、単にティア2のDCになるだけで、エッジDCとは呼べません。
「エッジ」がもたらす影響と意味
最初にDCをエッジDCと呼ぶ要件を挙げることは重要です。それは、この種のオペレーションがもたらす多種多様なメリットや、なぜそんなにエッジDCの人気の影響が大きいのかの状況を説明しているためです。
例えば、コンピューターユーザーが単にお気に入りのWebサイトをインターネット上で閲覧するだけなら、そのユーザーがエッジから「近い」のか「遠い」のかを示すことはほぼ不可能です。
ところが、運転手に実用的な安全情報を提供するために交通量をリアルタイムで監視するといった、より重要な目的について考え始めると、突如として1秒1秒が重要な意味を持つようになります。遅延は大きな要因となります。遅延が高いとパフォーマンスの低下によって職務の遂行能力が下がると同時に、安全な環境を維持することが難しくなるからです。
オンラインゲームからクラウドベースのエンタープライズアプリケーション、さらには動画などのストリーミングまで、今日の世界で低遅延が求められるさまざまなアプリケーションの保存先を検討するとき、エッジDCがどれだけ重要になるかが理解できます。
また、IoTに向けた議論ももたらします。IoTの世界では、まさに何十億ものデバイスが、リアルタアイムで情報を生み出し、保存・共有しています。IoTの帯域幅要件が圧倒的なだけでなく、パフォーマンスやセキュリティなどの問題も重要な要素となっています。
もし、あなたの自宅にあるスマートアイテムが、すべて互いに接続しあっている中、プロバイダーのネットワークが一元化されたポイントでDDoS攻撃を受けたら、あなたの全世界が実質的にオフラインになってしまいます。
同様に、これらのデバイスはシームレスなユーザーエクスペリエンスを形成するために接続されているにもかかわらず、容認できないネットワーク遅延があっては、その実現が不可能になってしまいます。
このような考え方は、現代ビジネスの基本であり、エッジDCは業界全体の方向性にさえも影響を与えています。非常に重要なデータは大規模なDCの「近く」で、すでに利用できるようになっていますが、IoTのようなトレンドは近い将来、大規模な集中管理されたDCの傍らにマイクロDCを配置するニーズを大いに高めることでしょう。
私たちに、より良いサービスをより良い価格で提供することに加え、これから10年もたたないうちに、エッジDCはもはやニッチな存在ではなくなることは容易に想像できます。これらは今後、「新しい基準」となり、イノベーションとビジネス革新を推進します。
- 本連載は米国ラリタン本社が運営しているブログを翻訳・転載したものです。
Raritan Blog
米国ラリタン本社が運営しているブログ。データセンターに関わる最新動向や分析情報などをお伝えしています。