グリー UI/UXディレクター / 細川 菜々恵 |
写真編集ソフトの定番「Photoshop」が、今年で25周年を迎えます。そこで、フォトグラファーやデザイナー、イラストレーターなど、このソフトを愛用している各界のクリエイターに、アニバーサリーイヤーを記念して、ご自身とPhotoshopに関するエピソード、そしてPhotoshopへのお祝いの言葉を寄せていただきました。
今回ご登場いただくのは、SNS、ゲームなどを手がけるグリーで、2015年6月にリリースされた自社開発ゲーム「パズクエ」のUI/UXディレクターを務める細川 菜々恵さんです。
――はじめて触れたPhotoshopのバージョンと「第一印象」は?
Photoshop 3.0だったと思います。当時はまだ学生でした。アナログ作業が当たり前の時代だったので、「こんな便利なものがこの世にあるとは!」というのが第一印象です。作業途中で差分を取っておけるとか、やり直しが利くということは、今では当たり前のことですが、当時は大変な驚きでした。
学生時代、知育ソフトのような作品で使用するアセットを、ペンタブレットもない環境で、Photoshopを使って必死に作っていました。ハイスペックと言われていたマシンでもパフォーマンスが出ず、作業自体に難儀しましたし、私自身もソフトに対しての理解が浅く、正直使いこなせているとは言い難いありさまでした。でも、触っているだけでとにかく楽しくかったのを覚えています。
――普段の業務・活動におけるPhotoshopの使い方を教えてください。
ゲーム制作全般で、メインのツールとして使用しています。ゲーム画面を制作する段階での使用頻度が圧倒的に高いですが、他にも諸々のラフ、アニメーションサンプル、プレゼン用の画像資料からラクガキまで、何をするにもまずはPhotoshopです。
Photoshopを中心に、他のツールを行き来しています。割合で言うと、時々Illustrator、たまにAfter EffectsやFireworks、ほとんどPhotoshop、という感じでしょうか。職業柄ピクセル単位での調整や計測が必須で、特に矩形選択ツールは定規代わりに使うことが多いのですが、それに代替・相当する機能が他のソフトにはないように思います。
初めて触って以来ずっと一緒に仕事をしてきましたし、触らない日はほとんどないので、体がPhotoshopに合わせて最適化されているように思います。
――最もよく使う/気に入っているPhotoshopの機能は?
すみません、多すぎて絞れません…。追加された当時に感動した機能は、調整レイヤー、アクション、レイヤーフォルダ、ヒストリー、スマートオブジェクトで、これらは実作業でもよく使います。作業中レイヤーの数が膨大になりがちだったので、レイヤーフォルダで整理できるようになったのはとても助かりました。
すばらしい新機能がどんどん追加されていますが、個人的には使い慣れているツールが改善・拡張された時の喜びの方が大きいです。他にも、自分ではあまり使いませんが、ゆがみフィルタや修正ブラシツールは、劇的な効果が得られて大好きです。デザイナーの間で、女性にはどんな美容液よりPhotoshopがいいと言われるのもわかります。画像編集ソフトになじみのない人にこれらの機能や調整レイヤーを使った作業工程を見せると、すごく反応がいいので、本当に魔法のように見えるのではないでしょうか。
――最後に、25周年の節目を迎えたPhotoshopへの激励の言葉をお願いします。
リリース25周年とは驚きです。デジタルアートの発展ともに歩んでこられた25年ですね、本当におめでとうございます。既に、ある種の頂点を極めたソフトのように思っているのですが、バージョンアップのたびに想像を超える改良が行われ、一体Photoshopはどこまで行くのか、どこに行こうとしているのか想像がつきません。そして私自身はもはやPhotoshopの成長に追いつけていません(笑)が、それでも手が動く限りは、ずっとPhotoshopユーザーで居続けたいです。これからもよろしくお願いします。できればショートカットの配置はあんまり動かさないでいただけるとありがたいです……!
グリーのゲームを支えるクリエイターのポートフォリオを公開
細川さんも掲載されている、グリーのクリエイターのポートフォリオサイト「GREE Creators’ Portfolio」。今年6月にオープンされたもので、グリーの人気ゲームを作っているクリエイターの作品をじっくり見ることができます。