プロトラブズでは3D CADデータを解析して、双方向対話式のProtoQuote見積りを返す仕組みを展開しています。パソコンの画面上で、射出成形に使用する材料やパーツ数量の検討を行うことができるだけでなく、設計に対するフィードバックを全て無償で得ることができます(図1参照)。形状を解析し、成形性の改善のためにどこを修正すれば良いのか、なども確認できるのです。
ProtoQuoteを使うタイミングとしては、ポンチ絵などから設計に展開し、3DプリンタやRP(ラピッドプロトタイピング)による検討などの設計初期の段階が終わり、実際に射出成形を行うための検証段階で活用されることが多いようです。それが正しい使い方であることに間違いはありません。しかし、実は他にもProtoQuoteの有効な使い方があります。今回は、設計に役立つProtoQuoteの活用法をご紹介します。
次回の開発プロジェクトでは、試作方法を検討する前に、3D CADによる設計データがある程度できた段階ですぐにアップロードまたはメールでデータを送り、ProtoQuote見積りをリクエストしてみてください。試作方法としては3Dプリンタで出力、造型機を使う、Protomold射出成形で行うというような選択肢がありますが、まずはProtoQuote射出成形見積りによるフィードバックを確認するというプロセスを加えてみてください。2011年の実績では平均4時間以内にProtoQuote見積りをお返ししています。
ProtoQuoteを使うことのメリットの一つは、抜き勾配やヒケといった成形性に関わる潜在的な問題をあらかじめ見つけておくことができることです(図2)。ProtoQuoteを取得するには、3D CADのデータをアップロードまたはメール送信するだけです。操作はシンプルでわかりやすく、さらに費用は一切かかりません。ProtoQuoteから得られる情報によって、今後発生するかもしれない成形性の問題を未然に防ぎ、大きな問題の発生によって金型の作り直しや設計変更、という状況を防ぐことになるかもしれません。パーツにアンダーカットがあるのであれば、ProtoQuoteで予め確認することができます。成形性を考えた時にその肉厚が適切であるかどうかなど、3Dプリンタでは検証ができませんが、弊社が独自に開発したソフトであるProtoQuoteであればその検証ができるのです。
今回ご紹介した成形性を確認するためにProtoQuoteを利用する場合でも、3D CADデータをアップロードする際に、任意で樹脂の選択、成形する数量、希望納期の入力を求められますが、正確な情報である必要はありません。必要な入力を終えると、CADデータは業界最速の並列処理コンピューターで解析され、平均3時間以内に解析結果とともに双方向の見積りへのリンクを記載したメールをお送りします。まだ、検証の段階であれば、見積りの部分は無視して、解析結果のみをご覧いただけます。3Dビューワのモデル上に色分けされた表示によって、成形時に起こる可能性のある問題点を確認することができます(図3参照)。Protomold射出成形をご利用になる場合には、これらの課題は必ず検討しておく必要があります。試作を3Dプリンタや造型機で行う場合には、指摘された成形上の問題に関する変更を行う必要はありませんが、最終的に射出成形で量産するのであれば、検討し解決するべき課題が提示されますのでProtoQuoteを活用する価値があると考えられるのではないでしょうか。
設計データの検証は何度行っても無料ですし、遠慮する必要もありません。表示された問題を3D CAD上で修正したら、データを再度アップロードまたはメール送信して、全ての問題が解消されているかを再確認します。開発工程が進むにつれて、機能検証の目的で複数の試作パーツを射出成形で製造することになっていくこともあると思います。そうすることによって、3D CADのデータ、CAEによる解析、3Dプリンタによる試作、そしてProtoQuoteでも得られない情報を得ることができるのです。
成形性の検証に活かせるProtoQuote見積りは無料です。プロトラブズではCADデータおよび資料、情報は機密情報として守秘義務を守って適切に扱っております。アップロード時のセキュリティ対策としてSSLを採用し、堅牢なセキュリティ環境で保存、保管しております。ぜひパーツの設計検証にもProtoQuoteをご活用ください。
ご参考
■プロトラブズ樹脂部品設計ガイド
■ProtoQuote(R)無料解析&見積り
本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。