プロトラブズでは熱可塑性樹脂に加え、液状シリコーンゴム(LSR)の射出成形も承ります。実際の製作につきまして当面は、米国本社で行いますが、お見積りをご依頼いただき、ぜひご検討ください。
シリコーンゴムの成形は従来の一般的な射出成形と共通することが多いですが、その一方で顕著な違いもいくつかあります。熱可塑性の樹脂は溶かしてから射出成形を行いますが、シリコーンゴムでは事前に冷却した二種類の熱硬化性の材料を、熱した金型に流し込むと、硬化してパーツが形成されます。シリコーンゴムで成形されたものは、熱可塑性樹脂のように再溶融することができません。
※ 熱可塑性樹脂 と 熱硬化性樹脂に関する解説記事はこちらでご覧ください。
できあがったシリコーンゴム製のパーツは強靱で、耐熱性、耐寒性、耐化学薬品性、耐電性に優れています。高温でも低温でも物性を維持でき、また、生体適合性があるため、皮膚に直接触れる製品にも最適です。シリコーンゴムの特性により、自動車、医療、フードアプライアンス(電化製品)、などの業種でシール、ガスケット、バルブ、ケーブルなどに使用されています。
図1 シリコーンゴムは柔軟性と耐久性を備えたパーツに最適です |
シリコーンゴム製パーツと熱可塑性樹脂製パーツの設計で考慮する点は共通することが多いですが、ここではシリコーンゴム特有の設計ガイドラインをご紹介します。
サイズ:最大の成形サイズは127mm x 127mmx 50mm。より大きなサイズについては、都度お問い合わせください。
肉厚とリブの厚さ:肉厚は製品形状にもよりますが、最薄0.5㎜が可能です。シリコーンゴムは通常、スムーズに薄肉を形成できますが、いかにパーツを傷めずに離型させるかが重要になります。リブの厚さは隣接する壁面と等しいか、薄くても1/2程度、内側のフィレットの半径は壁面と等しくすることが望ましいです。
収縮とバリ:シリコーンゴムの収縮率は高く、予想公差は±(0.08mm+0.01mm/mm)です。5ミクロン程度の隙間にも流れ込むため、バリが発生し易い性質ですが、プロトラブズでは、金型を設計・製作する際にバリを回避するための策を講じます。
パーティングライン:パーティングラインをできる限りシンプルにすることが、シリコーンゴムパーツのきれいな仕上がりと迅速な成形につながります。
アンダーカット:シリコーンゴムではアンダーカット形状の形成が比較的容易です。成形担当者は通常、手作業で成形品を離型させますが、場合によってはスライド機構で対応することもあります。
パーツの離型:シリコーンゴムパーツの離型にあたっては、材料の特性上、通常はエジェクタピンを使用しません。したがって、金型の設計にあたっては、金型が開いたときに成形品の表面積の約半分が金型に保持される状態を想定して設計します。さらには、成形品の位置が金型のパーティングライン面よりも上にあると離型がスムーズになります。パーツの離型は、手動で行います。
シリコーンゴムは、多くの製品に活用されている材料です。プロトラブズではシリコーンゴムの成形については、25~5000超個 程度のボリュームを、標準納期20営業日で対応します。パーツの抜き勾配、仕上げなどさらに詳しい情報につきましては、シリコーンゴム射出成形に関するページをご覧ください。
シリコーンゴム射出成形を検討されているパーツの3D CADデータをお持ちの場合は、こちらからファイルをアップロードしてください。お見積りと成形性の解析結果は1~2営業日で回答します。
ご参考:
本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。