試行錯誤を繰り返すうちにベテランになる―。これは、どの分野においても言えることですが、樹脂製品の設計も例外ではありません。プロトラブズの見積りシステムProtoQuote(R)が提供する機能は、その意味では「樹脂設計のベテランになるための近道」と呼べるかもしれません。3D CADは使えるけど、樹脂設計は良くわからないという方にもどんどん活用していただきたいシステムです。

ProtoQuoteは、製造性解析と見積りを自動化した自社システムで、平均3時間での回答を実現しています。回答には費用だけでなく、成形性を解析した結果も含まれます。解析結果は、成形品に起こり得る問題点や金型構造等を図解しているため、製品形状の見直しや費用を抑えるための検討資料として活用することができます。

ProtoQuoteは何回利用しても無料です。3D CADデータの形式はIGES、STEPのほか一部のネイティブ形式にも対応しています。

射出成形で製作する樹脂製品を設計するにあたっては、アンダーカット、抜き勾配、肉厚、表面仕上げ、樹脂の流動などを考慮する必要があります。ProtoQuoteではこれらの重要ポイントを解析して、良品を成形できるように設計についてアドバイスします。アドバイスはProtoViewというWebブラウザへのプラグインで参照できる3Dモデル画像にハイライトし、解説文がつきます。補足説明は電話でカスタマー サービス エンジニアが共通の画像を参照しながら行います。

金型の加工や成形上で支障がある部分については、「要設計変更」としてご案内します。この部分については何らかの設計変更を加えていただく必要があります。金型の加工はできるが、成形上で起こり得る注意点については、「注意点(成形可)」のタブを開いて確認できます。ここでは、設計変更は必須でなくても、用途や目的によっては考慮したほうが良い箇所をハイライトします。

図 1: ProtoQuote見積りに表示される解析結果の3Dモデル。「要設計変更」タブ、「注意点(成形可)」タブを開いて項目名をクリックすると該当する部分がモデルにハイライトされます。

図1はProtoQuoteのサンプルですが、アンダーカット、抜き勾配、表面仕上げ、肉厚、樹脂流動などを例に挙げて解説しています。その中に表示される3Dモデルは回転、ズーム、移動の他、透過度も調整して各項目を念入りに確認できます。 こちらでサンプル見積りを公開していますので、自由にシミュレーションしてみてください。

アンダーカット: Protomoldではスライドや置き駒にてアンダーカット形状にも対応します。スライド形状部の制限については、こちらの「アンダーカット形状に対応するスライド構造」でご紹介しています。

抜き勾配: パーツの側面に抜き勾配が不足している場合は、「要設計変更」、または「注意点(成形可)」としてハイライトされます。射出成形という工法では抜き勾配があるのが理想的です。もし、どのように抜き勾配を付けたら良いか分からない場合は、まずは抜き勾配を付けない状態で3D CADデータをアップロードしてください。ProtoQuote上で形状ごとに必要な抜き勾配を提示させていただきます。

表面仕上げ: Protomoldでは鏡面やシボ加工などの表面仕上げを選択できますが、その中でパーツに軽めのシボ加工(PM-T1)を適用する場合には最低でも3度の抜き勾配、強めのシボ加工(PM-T2)では最低でも5度の抜き勾配が必要になります。

肉厚: 射出成形品では不均一な肉厚や極度の薄肉、厚肉が問題の源になることがあります。ProtoQuoteでは薄肉および厚肉部分についてもモデルをハイライトしてご案内します。薄肉過ぎると、その部分に樹脂が完全に充填されず、ショートが発生したり、充填圧力を上げて無理に流し込もうとすると、他の部分にバリが発生する可能性があります。厚肉過ぎるとヒケ、ボイド、過度の収縮、ソリが発生する可能性があります。推奨される肉厚は樹脂の種類によって異なることも考慮する必要があり、こちらの樹脂の種類と推奨肉厚のページで紹介しています。

樹脂流動: パーツによっては、ProtoFlow(R) 樹脂流動解析を実施し、ProtoQuote上で動画をご確認いただけるようにします。樹脂の充填圧力が色分けして表示され、樹脂の流れが良くない箇所や、充填しきれない可能性のある箇所について金型を製作する前に確認でき、必要に応じてパーツの形状や樹脂の種類を変更するかどうか検討できます。

瞬時に回答: ProtoQuoteでは 「こういう場合の金額はいくら?」 の回答をリアルタイムに得られるので、問い合わせの手間も大幅に省くことができます。費用を左右する要素としては、金型の仕上げレベル(鏡面やシボ加工など)、数量、納期、材料があります。これらの仕様を画面上で変更すると、金額も連動してすぐに変わります。

図2: ProtoQuoteの仕様選択と、追加製作シミュレーション)

3D CADデータをアップロードして見積りを依頼するときには、材料、試作数量、年間の使用数量、希望納期を選択できます。すべて任意で、見積りが届いてから選択することもできますが、希望の樹脂や納期をあらかじめ選択して依頼していただくと、より正確な回答をお届けできます。納期は10営業日が標準で、パーツの大きさや形状によっては 1、3、5 営業日を選択できますが、プレミア料金がかかります。15営業日を選択すると、20%のディスカウントが得られます。「追加製作シミュレーション」も行えるようになっていますので、増産の計画策定に活用できます。

設計変更や成形性などの技術的なご相談には、カスタマーサービス エンジニアが対応します。ご発注後は、エジェクタピンとゲート位置を確認していただき、製造プロセスに入ります。

見積りも解析も無料で何度でも利用できますので、3D CADモデルをお持ちでしたら、ぜひ下記「ご参考」内のリンクよりアップロードしてお試しください。

ご参考:

ProtoQuote(R)無料解析&見積り
樹脂部品設計ガイド

本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。