パーツに文字入れをする理由はさまざまです。組立説明、部品番号、法律で定められた警告文、ロゴなどがあげられます(図1)。いずれにしても、文字はパーツ上で一番小さなフィーチャなので、設計者も細心の注意を払う必要があることには間違いありません。

写真1: パーツ上のOff/On表記

まず、プラスチックパーツの文字は、彫り込むよりも突起させる(つまり、金型自体に文字を彫り込む)ほうが望ましいことを意識してください。パーツ上に突起した文字は読みやすく、金型に文字を彫り込むので、磨きも容易です。反対に、金型上に文字を突起させると、きれいな表面に仕上げることが困難になります。

文字の肉厚が均一であることも重要なポイントです。ゴシック体(サンセリフ系)のフォント、たとえばCentury Gothic Boldは理想的なフォントです。Arial や Verdanaも頻繁に使用されるゴシック体のフォントです。成形が上手くいかないのはセリフ系のフォントで、文字を形成する線が均一でなく、「ひげ飾り」と呼ばれる装飾が文字のストロークの端にあるため、金型を削る時点で問題が出てきます。ほとんどの3D CADプログラムでは標準の Windowsフォントを指定できますが、装飾的な文字は避けるのが無難です。

文字のサイズにも注意します(図2)。文字はパーツの表面からわずかに突起していれば(0.5mm程度)十分ですが、薄いリブと同じルールが適応されます。文字の肉厚を細かに計測する必要はありません。フォントサイズは20 ポイント以上、スタイルは太字を選択すればほとんどの場合は切削できます(図3)。プロトラブズでは、より小さいサイズのフォントも切削できる場合があります。小さい文字が必要な場合は、まずはその3D CADデータをアップロードしていただければ、解析結果をお送りします。

図2:「O」が小さすぎて切削できません

図3: 「L」はフォントが大きいので、切削工具が入るスペースがあります。

最後に、文字をリブなどの高さのあるフィーチャの上に配置する場合は、より大きなフォント サイズを使用しなければならないこともあります。

まとめると、文字を配置する場合、以下を考慮してパーツを設計するようにします。
- 突起した文字を使用
- 20ポイント以上、太字のゴシック体フォントを使用
- 高さのあるフィーチャの上に文字を配置することは避ける

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本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。