樹脂部品の設計は、けっこう複雑で、まったく新しい製品を設計することになれば、一層難しくなります。また、設計段階でのちょっとした工夫が、困難と思われたことを容易にしたり、不可能と思われることを可能にしたりします。Design Tips ではこのような樹脂設計の秘訣をさまざまなノウハウやProtomold 射出成形の特徴を織り交ぜながらご紹介しています。当記事では、抜き勾配を付与しなくても良い場合をご紹介します。

対象となるフィーチャは、一般的には2つの樹脂パーツをタッピングねじで接続するためのネジ穴などを形成する場合などに使用するものです。この穴は"コア"と呼ばれる金型の凸形状で成形されます。(図1参照)

図1:コア側の金型でパーツの穴形状を形成する例

Protomold ではアルミの金型により、短納期射出成形を実現していますが、直径に対して深さが大きい穴は、スチールコアピンで成形しています。例えば、直径が 3mm、深さが 6mmの穴(図2参照)を成形する場合は、この形状を抜き勾配無しでモデリングするだけです。この形状は弊社のソフトウエアが識別し、金型を設計する際に穴を形成するためのスチール製の円柱状のコアピンを設定します。(図3参照)

図2:直径 3mm の穴があいたパーツの例

図3:円柱状のスチールコアピンが配置された金型

スチール コアピンで形成できる穴形状の場合は、抜き勾配を設ける必要がありません。アルミのピンとは異なり、スチールピンにはパーツを取り出す時の応力に充分耐える強度があり、またその表面も滑らかなため、抜き勾配がなくても綺麗に取り出せるのです。

穴の大きさは、使用するネジの大きさに依存します。一般的には、加工の際にはネジの仕様に対応した下穴の大きさが指定されます。なお、特定の樹脂に対してはネジの種類が限定されることがあります。そのため、試作の途中で樹脂の種類を変える場合には、その樹脂に対して適切なネジを選択しているかを確認する必要があります。

ご参考:

プロトラブズ樹脂部品設計ガイド
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本コラムは、プロトラブズ合同会社から毎月配信されているメールマガジン「Protomold Design Tips」より転載したものです。