PowerPointには、「棒グラフ」と「折れ線グラフ」を組み合わせた「複合グラフ」を作成する機能も用意されている。今週は、作成したグラフを「複合グラフ」に変換する方法を紹介しておこう。複雑なグラフを作成する時の応用例としても参考になるので、一度操作手順を確認しておくとよい。

「棒グラフ」と「折れ線グラフ」の複合グラフ

まずは、今回の解説用に作成したグラフを示しておこう。このグラフは「男性」と「女性」の会員数、ならびに「売上」をまとめたもので、以下の図のように基データを入力してグラフを作成している。

解説用に作成したグラフ

グラフの基データ

ただし、「売上」の値は「男性」や「女性」の値と比べて極めて小さく、変化の様子を読み取ることが不可能である。そもそも、「会員数」と「売上」という次元の異なるデータを同列に扱っていることが“根本的な間違い”といえる。とはいえ、次元が異なる2つのデータを1つのグラフに示したい場合もあるだろう。このような場合に活用できるのが「複合グラフ」となる。

それでは、作成したグラフを「複合グラフ」に変換する手順を紹介していこう。この場合は、前回までの連載で紹介した手順でグラフを作成した後、いずれかの「データ系列」を右クリックして「系列グラフの種類の変更」を選択すればよい。

「データ系列」を右クリックして「系列グラフの種類の変更」を選択

すると、以下の図のような設定画面が表示される。ここでは、別次元のデータとして扱う系列名の「第2軸」にチェックを入れ、その系列の「グラフの種類」を変更する。

「第2軸」をチェック

グラフの種類を変更

「OK」ボタンをクリックすると、グラフが「複合グラフ」に変換され、以下の図のように表示される。「第2軸」をチェックしたデータ系列は、新たに右側に表示された縦軸(第2縦軸)を基準にして描画されるため、他のデータ系列と数値が大きく異なっていても、値の変化を十分に読み取ることが可能となる。

「複合グラフ」に変換されたグラフ

あとは「折れ線グラフ」の書式を変更してグラフの見た目を整えるだけ。「折れ線グラフ」をダブルクリックして「データ系列の書式設定」を開き、「線」と「マーカー」の書式を調整すると、以下の図のようにグラフ表示をカスタマイズできる。

「線」と「マーカー」の書式指定

「折れ線グラフ」の書式を調整したグラフ

縦軸の書式の調整

グラフの左右に2つの縦軸を設ける場合は、それぞれの縦軸が何を示しているのかを明確に示しておく必要がある。この問題は、左右の縦軸に「軸ラベル」を表示することで解決できる。

グラフツールの「デザイン」タブを選択し、「グラフ要素を追加」で「軸ラベル」の「第1縦軸」と「第2縦軸」をONにしておこう。

左右の縦軸に「軸ラベル」を表示

すると、左右の縦軸に「軸ラベル」が表示される。ここに各軸が示す内容や単位などを入力し、文字の書式を調整すると、以下の図のようにグラフ表示をカスタマイズできる。

軸ラベルを入力して書式を調整

さらに、それぞれの目盛線が共通になるように縦軸の範囲を調整しておくとよい。今回の例では、左側の縦軸は5,000間隔で5つの区間(0~25,000)に分割されているのに対して、右側の縦軸は100間隔で6つの区間(0~600)に分割されている。このため、目盛線の数が一致せず、グラフの数値が読み取りにくくなっている。

このような場合は、左右の「目盛線の数」が同じになるように「縦軸の範囲」を調整しておくとよい。例えば、左側の縦軸の「最大値」を30,000に変更すると、左右とも6つの区間に分割されるようになり、目盛線を共通化することが可能となる。

左側の縦軸の値を調整

左右の縦軸で目盛線を共通化したグラフ

複合グラフを利用する時は、「それぞれのグラフや軸が何を表しているのか?」を明確に示しておく必要がある。これまでに紹介してきた書式指定を含め、グラフのカスタマイズ方法をよく復習しておくとよいだろう。