セキュリティ意識の高まりから、ビジネスでもプライベートにおいてもIPカメラによる監視ソリューションを検討している方も多いだろう。オフィスや自宅などをIPカメラで録画することで、犯罪や不正行為の抑止などが期待できるからだ。今回は、NETGEAR社の「ReadyNAS Surveillance」を利用したIPカメラ監視ソリューションについて解説する。

ReadyNAS Surveillanceの特徴

ReadyNAS Surveillanceとは、NETGEAR社のストレージ製品「ReadyNAS」シリーズで利用できる拡張機能だ。Surveillanceのポイントは、以下の2点だ。

  1. 録画データのストレージ領域の集約
  2. 統一されたユーザインタフェースで録画データを閲覧

この2つのポイントから、Surveillanceによって拡張性に優れたIPカメラ監視ソリューションを展開できる。たとえば、カメラ1台から始めてあとから台数を増やして行くというような拡張も可能だ。

以降で、これらのポイントについて、詳しく見ていこう。

録画データのストレージ領域の集約

IPカメラで録画した録画データの保存先は製品ごとに異なるが、IPカメラにmicro SDカードを搭載して、ローカルストレージに録画データを保存している場合、当然ながら、容量の制約がある。最近は比較的大容量になったとはいえ録画データの保存領域のサイズによって、IPカメラでの画質や録画時間が左右される。

また、IPカメラの監視ソリューションを導入するには1台のカメラのみではまかないきれないことが多いだろう。監視する範囲が広くなれば、複数台のIPカメラが必要だ。IPカメラごとに録画データの保存領域をどのように確保し、それらをどのようにして管理するかを考えなければならない。

こうした
・録画データの保存領域の容量制約
・複数のIPカメラの保存領域の管理

についての問題点を解消するのがReadyNAS Surveillanceだ。
ReadyNAS Surveillanceによって、ReadyNAS上でのシェア(共有フォルダ)をIPカメラの録画データ保存領域として提供できる。ReadyNAS上のシェア(共有フォルダ)の設定次第ではあるが、一般的なmicro SDカードよりも大きな容量を確保することができる。また、複数台のIPカメラがあっても、同じシェア(共有フォルダ)上に録画データを保存して、集約した管理が可能だ。シェア(共有フォルダ)で確保している容量までIPカメラをどんどん追加して拡張することも可能になる。

図1録画データのストレージ領域の集約

統一されたユーザインタフェースで録画データへアクセス

IPカメラで録画した録画データを視聴するには、それぞれのIPカメラにWebブラウザや専用のアプリケーションでアクセスすることが多い。1台や2台ならともかく、IPカメラが増えてくると、録画データへアクセスすることは煩雑になる。さらに、IPカメラのメーカーが異なっていると、管理用のインタフェースも違ってしまいさらに煩雑だ。

図2異なるメーカーのIPカメラでの録画データ視聴

ReadyNAS SurveillanceはさまざまなメーカーのIPカメラに対応しているため、ReadyNAS Surveillanceを利用すると、保存したIPカメラの録画データに統一されたインタフェースでアクセスできる。Webブラウザやスマートデバイス向けのアプリケーションでReadyNAS Surveillanceにログインすれば、複数のIPカメラの録画データを簡単に視聴できる。また、管理するIPカメラごとにチャネルを割り当て、マルチチャンネル構成として、同時に複数のIPカメラの映像をライブ視聴することも可能だ。IPカメラの数が多くなってくればくるほど、ReadyNAS SurveillanceによるIPカメラ管理の統一されたユーザインタフェースのメリットは大きくなるだろう。

図3 ReadyNAS Surveillanceでの録画データの視聴

ReadyNAS Surveillanceの操作

筆者は、NETGEAR社にて、実際にReadyNAS Surveillanceについての簡単なレクチャーを受けた。ReadyNAS Surveillanceを利用すると、とても手軽にIPカメラ監視ソリューションを実現できることを実感した。ReadyNAS Surveillanceの操作について簡単に紹介しよう。

システム構成

今回、ReadyNAS Surveillanceについて検証したシステム構成は以下の図のようになる。

図4 ReadyNAS Surveillance検証 システム構成

3台のIPカメラはNETGEAR社のPoE対応スイッチを介して社内LANに接続している。この3台のIPカメラをReadyNAS Surveillanceで管理するという構成だ。利用した機器は、以下の表にまとめている。

表 1 利用機器のまとめ

機器種類 製品
NAS ReadyNAS 316
L2SW(Sakura) JGS524PE
L2SW(kiku) GSM512P
L2SW(Front) GS110TP
IPカメラ(Sakura) AXIS P3354
IPカメラ(kiku) AXIS Q1604
IPカメラ(Front) AXIS M3007

なお、実際に行った設定手順については次回説明する。