さて、前回は、i-SOBOTとケータイの組み合わせのプログラミング方法をみっちり解説しましたので、今回は一転、i-SOBOTとPCの組み合わせでできることを紹介しましょう。
PCは、世の中にたくさん出回っている「入力デバイス」「出力デバイス」「ネットワークリソース」「ライブラリ」を利用できます。パソコンからi-SOBOTを制御できるのならば、i-SOBOTもそれらと連携して機能するようになるのです。
「入力デバイス」としては、マウスやキーボードが使えるのはもちろん、PC用体感ゲームの各種コントローラも利用できるようになります。Xbox 360のコントローラなど自分が普段使っているコントローラを対応させてみるのもいいでしょう。
「出力デバイス」としては、音はスピーカー、映像はヘッドマウントディスプレイなどが利用できるようになります。赤外線でほかの赤外線リモコン対応の家電製品を操作することもできます。
「ネットワークリソース」には「Wikipedia」や「Googleカレンダー」などのようなWebアプリケーションも含まれます。これらを利用することにより、i-SOBOTが単語の意味や近くの予定を教えてくれるようになるでしょう。
「ライブラリ」は、音声合成エンジンとしては「AquesTalk」、音声認識エンジンとしては「Julius」、画像認識エンジンとしては「OpenCV」などがあります。これらを使うことで各分野の専門知識なしに、高度な機能を利用できるようになります。
PC用のプログラムは主にVisual C# 2008 Express Editionを使ます。PCとi-SOBOT間は赤外線をインタフェースとするため、ハードウェアとしては、赤外線送信ができる学習リモコンを用意する必要があります。では、どんなことができるのかを見ていきましょう。
「PCでHello World!」
これは練習用のプログラムです。PCから、i-SOBOTに「こんにちは!」と挨拶させるプログラムです。前回作り方を紹介した「ケータイでHello World!」のPC版ですね。具体的な作り方は次回ご紹介します。
ゲームパッドで操作
使い慣れたゲームコントローラでi-SOBOTを操作できるようにします。PC経由ですが、PCとi-SOBOT間は赤外線で通信します。格闘ゲームばりの素早い操作ができるかも。
時間を教えてくれる
音声合成機能と音声認識機能を追加すればこんなことも可能です。i-SOBOTはもともと10語は音声認識できますが、これをいっきに2万語まで認識できるようにします。固有名詞などは追加登録すればOK。言葉がわかるとカシコイやつに見えてくるから不思議です。
家電を制御
「テレビ!」などと言うとi-SOBOTが「かしこまりました」なんて言いながらテレビをつけてくれたら便利ですよね。家電リモコンの赤外線コードを使えば、そういったことも可能です。
秘書ロボット
いわゆるデスクトップマスコットの実体版です。「Googleカレンダー」や「Wikipedia」などのWebAPIと連動させ、言った内容に応じて言葉の意味を調べてくれたり、明日のスケジュールや現在時刻を教えてくれたり、簡単な会話までできたりします。
開発環境を整える
では、開発環境を準備しましょう。例によってハードウェアとソフトウェアの用意が必要ですので、以下にざっと紹介します。
i-SOBOT
Windows搭載PC
学習リモコン PC-OP-RS
学習リモコン PC-OP-RSは、PCから赤外線リモコンの信号を発信できるようにするキットです。学習リモコンの1種なのですが、PCから制御して利用する点がほかの学習リモコンとは異なります。赤外線送信部が4つ付いているので、4つの赤外線リモコン対応機器を同時に操作することができます。i-SOBOTを操作するだけでなく、ほかの赤外線リモコン対応の家電製品を操作する際にも利用可能。5,000円程度で入手できます。
Visual
C# 2008 Express Edition
マイクロソフトが提供するC#アプリケーション開発のための統合開発環境です。
i-SOBOT
Control Library(ISCL) for PC
パソコンから赤外線経由でi-SOBOTを操作するライブラリです。
次回は、i-SOBOTとパソコンの組み合わせのプログラミング方法を具体的に解説。乞うご期待。
なお、詳しい方法やプログラム等は発売中の「PLUS ROBOT vol.1」で述べています。