サンクネットのアウトソーシングビジネスは大きく2つに分類される。1つは、技術サービスやカスタマサポートの請負、代行を行う「テクニカルサポートアウトソーシング」、もう1つは業務・運営・管理の請負・代行を行う「ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)」である。これらにおいては、フィールドサポート、コールセンター、物流センターという3つのサービス部門/拠点を活用したサービスがそれぞれ展開されている。以下、各サービスの詳細を説明しよう。

テクニカルサポートは使えるところまできっちりサポート

サンクネット事業推進グループ グループマネージャー 神田俊輔氏

フィールドサポート部門は、IT、ネットワーク、AV、家電製品などの全国オンサイトサポート、保守メンテナンス、個人宅出張サポート、研修会の開催といったテクニカルサポートと、全国規模で展開することが可能なポンティングサービスや訪問リサーチ、販促/販売ラウンダー、イベント運営といったBPOを提供している。

事業推進グループ グループマネージャーの神田俊輔氏は、「全国900社以上の事業者と提携し、1件の訪問依頼から全国規模での一斉展開に至るまで対応が可能だ。また、スキルの高い専門家による訪問業務の提供からシンプルな訪問作業、プロジェクトやイベントの運営管理まで対応しているほか、スケジューリングやアポイント作業、計画準備、マニュアル整備、事前教育なども請け負っている」と話す。

訪問サポート1つをとっても、コストを追求するビジネスには乗り出していないのが同社の特色と言える。

「アウトソーシング事業者のなかには、低料金にこだわるあまり、機器を設置するだけで帰ってしまったり、再訪問する際は料金を別途徴収するような契約形態をとったりしているところもある。当社のサービス料金は安さを追求したものではないが、実際に機器を設置し、使えるところまでをカバーするなど、品質重視のサービスを心がけている」と、代表取締役社長の片町吉男氏は他社との違いに言及する。

例えば、新築マンションでインターネットやCATVを導入する際の説明会のアウトソーシング受託では、説明会を1度開くだけで終わることはなく、使えるところまでサポートすることを重視した契約形態としている。これも同社ならではの姿勢だ。

品質が最優先、200席を超える商談は他社に譲ることも

サンクネット 代表取締役社長
       片町吉男氏

一方コールセンターでは、ユーザーサポートセンター、ヘルプデスク、故障受付といったテクニカルサポートと、通信販売受注センター、EC運営管理センター、テレマーケティングなどのBPOに対応する体制を構えている。

「電話によるインバウンド、アウトバウンド業務のほか、メール、FAX、Webといったマルチコンタクトによる対応が図れるほか、単なるコール業務の代行ではなく、フルカスタムメイドでお客様の業務支援を行える体制を整えている。コールセンターでは、1席からの対応をはじめ、200席規模のセンター運営まで対応できる」という。

コールセンターは、東京都内に4ヵ所、大阪に3ヵ所、名古屋に1ヵ所のほか、埼玉県の埼玉技術サービスセンターを持つ。同社がコールセンターを運営するうえでこだわっているのも、やはりサポート品質である。それには、エンドユーザーに対する品質と委託元の企業に対する品質の双方の品質を確保するという2つの側面がある。

片町氏は、「コールセンターは社員のほか、当社の教育カリキュラムを受講した関連会社の社員、契約スタッフなどで構成され、派遣社員は事情がない限り原則採用していない。これにより、一定水準のサポート品質を維持している。加えて、ワークフローやマニュアルの作成、事業の設計など、顧客のビジネスに深く踏み込んだ形でのサポートも行っている」と語る一方、「200席を超えるような大規模な商談において当社のコールセンターの特徴を生かすことができないと判断した場合は、他社を紹介することもある」と語る。

同社は単に電話やメールによってエンドユーザーに対するサポートを行うだけでなく、コールセンターから得られた声を、委託元の企業に的確に報告し、製品の改善やサポートの強化、ひいては業績向上へとつなげることができる緊密なパートナーとしての役割を担うことを重視している。そうした強固なパートナーシップの実現は、100席前後が1つのボーダーラインと判断しているのだ。

1つの製品やサービスに対し、すべてのオペレーターが高いモチベーションで取り組むことができる規模が1席から200席程度と言ってよいのかもしれない。こうしたこだわりは、他社にはないものだろう。

顧客の声でズボンの裾上げ加工にも急遽対応

最後の物流センターでは、機械類のキッティングやセッティングといった個別のエンドユーザーに対応した仕様の変更や製品の検証といったテクニカルサポートと、在庫管理・物流管理といったBPOに対応している。

埼玉の関東物流センターのほか、関東地域には4ヵ所の物流センターが配置されている。さらに、流通加工センター、新潟物流センターを加えて約3,500坪の体制を構築しており、倉庫も活用しながら、案件の大小にかかわらず、保管・加工・配送という一連の仕組みを一括で請け負うこととができるのが特徴だ。最近では、EC事業に参入する企業からの受注が増加しているという。

「アパレル系のある企業からは、在庫・物流管理にとどまらず、エンドユーザーの要望に合わせたズボンの裾上げ加工までできないかという要望が上がり、これにも対応している。物流センターの従業員から、スーパーなどの衣料フロアに勤務し、裾上げの経験がある人たちを選抜して、この業務に当たっている」という柔軟性も同社ならではのものだ。

このように、幅広いアウトソーシング業務に高い品質を維持しながら対応できるのがサンクネットの特徴と言える。