日本は秋ですね。もう肌寒くなってきた頃でしょう。

ブラジルは暦の上では「春」です! とはいっても、特に春を感じるわけでもなく･･････。まあ、ちょっと暖かい日が増えたかな? というくらい。相変わらず日差しがない時の寒さといったら冬みたいです。

花粉症もないし、桜が咲くわけでもない。

これ! という特徴的な春はまだ見つけられずにいます。

リオデジャネイロ観光に行ってきました! (コルコバードの丘の頂上にて)

でも、サンパウロにはちゃんと春を告げるものが存在するというのです。

何だろう何だろう?

綺麗な花が咲くとか? 風に乗って良い香りがしてくるとか???

いやいや、全然違いました。

なんでも、「クッピン」という虫が、その風物詩なんだそうな。虫です。

先日シュラスコのお店で食べた肉の部位(コブがある牛のコブの部分)も同じ「クッピン」という名前でしたが、それとは別物だということ。

可愛らしい名前ですが、この虫が、相当な厄介者なんです。羽アリみたいな虫で、集団で家の中に侵入し、木製の家具に入り込み、その木を食い荒らすんだとか。それも、ちょこっと齧られちゃった! みたいな軽いものではなく、家具の中がスカスカの空洞になって、最後には崩れ落ちるほどに食い荒らされてしまうらしい!! 恐ろしい。

私も初心者ながら、一応「クッピン対策」なるものをしてみました。

簡単です。

彼らが飛んでくる時間に、電気をつけずに窓を閉め切ればいいだけ!

サンパウロでは冬から春になる変わり目に、春一番のような強い風が吹きますが、その風に乗って彼らは飛んでくるのです。それも、晴れて蒸し暑い日、日が沈んで暗くなりかける夕方のわずか1時間程度が飛行タイム! つまり、その時間さえ気を付けていれば勝利です!

しかし、しっかり窓を閉めたつもりでも、ほんの数ミリ開いていただけでクッピンに入られてしまうこともあるんですって。そもそも、こちらのマンションの窓って、隙間風が入るし、密閉は不可能。そんなこんなで、知り合いの方のお宅にクッピンが入ってしまいました。駆除は大変だったみたいです。

退治するにもどこに潜んでいるのか分からない。唯一、家具に入り込む前に羽を落とすらしいのですが、その羽が「入ってます!」のマーク。見つけた時には鳥肌ものですよね。

サンパウロ滞在中に、一度もお目にかからずにすむことを祈ります。

さて、虫が苦手な人にとっては、ぞっとする話でしたが･･････。

10月といえば! そう! 今年はブラジル大統領選挙があります。

10月3日です。4年に一度の一大イベント。ワールドカップと同じ年なのですよ。投票日をうっかり忘れてしまう、なんてブラジル国民はいません。なぜなら投票は18歳から70歳までの国民の義務。任意ではありません。しないと罰金なんです。しかも、投票をしたという証明書がないと、就職などに支障が出ることもあるそうですから、必然的に投票率は高くなります。これって、国民の政治への関心を高めることにもなるし、悪くない制度だと思います。

さて、皆さんがこれを読む頃には、もう次の大統領が決まっているかもしれませんね。(候補者の得票率が過半数に満たないと、10月31日に決選投票となります)

とりあえず、結果が分かる前の話になってはしまいますが、ざっくり言うと、今回の大統領選は現政権与党「労働者党(PT)」のジルマ・ロウセフ候補と、野党「ブラジル民主社会党(PSDB)」のジョゼ・セーラ候補の一騎打ちの様相です。

ロウセフ候補は、現大統領のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ氏から後継指名を受けている女性。前官房長官です。彼女が選ばれれば、ブラジル初の女性大統領誕生! となります。

今年の始めまで、セーラ氏の支持率が圧倒的だったものの、現時点ではロウセフ候補がリードしているようです。その追い上げの原因は、なんといってもルーラ氏がガッチリ彼女を支持していることが知れ渡ったから。なにしろ、ルーラ氏は支持率が約8割もある超カリスマ大統領。現在8年目の任期までに(ブラジル大統領の任期は最長で8年)貧困の削減や経済成長、政治の安定に取り組んだことを評価されています。このルーラ氏の路線を引き継ぐ候補に支持は流れるというものです。

おもしろいのは、ルーラ氏が率いる与党が大きな問題を抱えているのは(汚職やスキャンダルなどなどたくさんあるようです･･････)周知の事実であるのに、いまだに支持率が高いこと。なんだかんだあっても、政策に一定の成果があるからという理由で支持されているみたいです。特に貧困対策での実績は、多くの貧困層からの支持を集めています。

今回の大統領選では、こんな風刺漫画を見つけました。ロウセフ候補がコッシーニャ(ブラジルのコロッケ)を買いに行った時、店員に中身の具はどちらにしますか? と尋ねられ、わざわざルーラ氏に電話してどっちにするべきか聞く、というもの(新聞『Folha de São Paulo』より)。ロウセフ候補が選ばれれば、まさにルーラ氏の現政権を踏襲することになります!

さあ、誰が選ばれるのでしょうか?? 地球の裏側の国の選挙、皆さんも注目してみてくださいね!

執筆者プロフィール:岡山裕子
フリーキャスター、気象予報士。2002～2006年、名古屋テレビアナウンス部で「スーパーJチャンネル」「ドラゴンズ倶楽部」「伊集院光 光る! スポーツ研究」他を担当。2010年3月でTBS「NEWS 23」キャスターを卒業。1980年1月15日生まれ、茨城県龍ケ崎市出身、お茶の水女子大学卒。やぎ座のAB型で、特技はクラシックバレエ、趣味は映画鑑賞と料理。アメブロでオフィシャルブログ「ゆうコーナー」も更新中!