Q

部下と話をしている時、自分が部下の話を乗っ取ってしまっていることに気が付いてハッとすることがあります。つい黙っていられず、遮ってでも意見を言ってしまうのです。「傾聴することの大切さ」を聞くにつけ、「なぜ自分はちゃんと部下の話を聞けないのだろうか。これでは部下のやる気が育たない」と自己嫌悪に陥ってしまいます。何かいい対処法はあるでしょうか?(千葉県 NTさん)

A

話している相手の目を見るということも大切です。これは相手の存在を真正面から受け止めるという意思の表れになるからです。また、話の腰を折らず、話題もあまり変えるべきではありません。もっとも、話に割って入りたくなる感情は簡単には抑えられないでしょうから、取材記者を真似て筆記用具と紙を用意して聴いてみてください。

要所をメモしながら、矛盾点や自分の意見は発言せずに、この紙に書いていくのです。この作業の効果は絶大です。

まず、職場が引き締まります。部下は上司が真剣に話を受け止めていることを理解し、よりうまく話そうという意識が働きます。万一、話が脱線しそうになっても、上司がこの紙を見ながら質問を投げかけることで軌道修正できるわけです。

場合によっては、2人の間に紙を置き、論点を整理しながら話を進めるてもよいでしょう。その成果が無意味になることはお互いに避けたいでしょうから、徐々に生産的な話になっていくはずです。紙は何でも構いませんので、ぜひ試してみてください。メモを取りながら真剣に熱心に聴くあなたの姿勢は、部下との関係性を徐々に好転させ、現場の空気をも変えていくでしょう。

おススメの1冊

聞く作法 話を聞ける人が成功する理由 渡邉美和子著
幻冬舎メディアコンサルティング
(幻冬舎)

  
      

本書は、医師である著者が患者の話を聞く経験の中で培ったコミュニケーションの手法や注意すべきポイントなどを解説していた一冊です。能動的に"聴く"ことがどれだけ対話力を向上させるかという点について、技術的なことのみならず、「作法」という思いやりの問題としてとらえていることに共感します。リーダーとしての力、そしてチームとしての力も、実は現場の声をどれだけ傾聴できるかどうかで大きく変わってきます。「聞く作法」をぜひ日々の業務に積極的に取り入れていきたいものですね。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.7(2008年11月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。

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