Q

部下と話をしている時、自分が部下の話を乗っ取ってしまっていることに気が付いてハッとすることがあります。つい黙っていられず、遮ってでも意見を言ってしまうのです。「傾聴することの大切さ」を聞くにつけ、「なぜ自分はちゃんと部下の話を聞けないのだろうか。これでは部下のやる気が育たない」と自己嫌悪に陥ってしまいます。何かいい対処法はあるでしょうか?(千葉県 NTさん)

A

「部下と話をする」機会とは、ビジネス上では主に報告を受けている時になるでしょうか。また、宴席などで部下がざっくばらんに話しているのを聞くなど、日常の何気ない場面でも機会はあるはずです。

確かにNTさんがおっしゃるように、そのような様々な場面で、上司が部下の話を乗っ取るケースは少なくありません。むしろ、NTさんのように自分でそれに気付いて直そうと考えている人のほうが少数です。

大概の場合、上司は部下の話を乗っ取って気持ちよく話し、何の罪悪感もなく会話が終了することが多いはずです。その意味では、NTさんはすでに自己改善への一歩を踏み出していると言えるのではないでしょうか。

しかし、なぜ上司は部下の話を乗っ取るのでしょうか。「話の先が読めてしまうから」「多忙ゆえに早く終わらせたいから」「部下よりも経験や知識が上回っているので間違いをすぐ指摘したくなってしまうから」など、いくつも理由は考えられます。

基本的に部下の能力向上を願わない上司はいないわけで、本来は熱心さゆえに話を遮ってしまうと見ることもできるでしょう。

とはいえ、部下の側からすれば話す意欲をそがれてしまうことになり、大きな問題ととらえるべきです。上司の話を部下が黙って聞いていることが多いチームは活気もなくなっていくものです。本来は部下が積極的に話しているチームの方が風通しがよく情報共有が進み、伸びる組織となる可能性が高いのです。

また、部下が不快感を表明することは稀です。上司はひたすら自分の意見を話し続け、気がつくと説教へと変化していく―このような関係はある程度予測できることであり、上司自身がセルフコントロールしない限り、状況は変わりません。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.7(2008年11月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。