Q

プロジェクトの進捗を確認するため、共有管理システムから部下のチーム内外でのメールのやりとりを見たのですが、「こんな文章を送っていたのか……」と正直ヒヤヒヤする文面が多数ありました。しかし、表面的にはちゃんとコミュニケーションはとれていて、トラブルが発生しているわけではありません。ですから文章に問題があっても、あえて見過ごすようにしているのですが、それでもやはりこのままではいけないと思っています。部下のメールのスキルを向上させるには、どのようにすればよいのでしょうか?

A 「独自指標の導入による指導も」

では、実際にはどのような指導をすればいいのでしょうか。それこそ思いつきのように捉えられてしまっては、部下の納得も得られません。

そこでKPI(重要業績評価指標)のようなビジネスメールの独自評価指標を作り、部下と共にメールを検証するというのはいかがでしょう。

この場合、目標達成のための業績評価の指標をもとに、各項目が一定レベルに達しているかどうかを定点観測することで、その能力向上の状態を把握することができるようになります。

例えば、前述のレスポンスタイムなどでは24時間以内の返信、48時間以内の返信といったように明確にチェックできる項目も設置できます。文章上のことは数値化しにくいものですが、不自然に感じる部分の箇所、不快に感じる箇所をカウントする、というようなことであれば、指標化することも可能です。

こうして設定したKPIをもとに、対象メールの文章を見ながら面談を行い、改善点や考え方の指導を定期的に行います。また、「なぜそうするのか」という理由を話し合って理解させることも大切です。

気をつけなければいけないのは、こうした指標による評価を複雑にしすぎてはならないということです。多忙な上司と部下が共に適切な負荷で取り組むことができる運用を目指し、項目数を抑え、わかりやすくすることが重要です。

3~5程度のチェック項目を月ごとにローテーションさせるなどして確実に浸透を図ります。

さらに、メールスキルの向上とともに指標を変化させ、難易度を上げていくといった工夫も必要でしょう。

メールの内容に他者への配慮がみられるようになってくれば、あなた自身のストレスも軽減され、部下に安心して仕事を任せることができるようになるはずです。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.10(2009年6月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。