Q
プロジェクトの進捗を確認するため、共有管理システムから部下のチーム内外でのメールのやりとりを見たのですが、「こんな文章を送っていたのか……」と正直ヒヤヒヤする文面が多数ありました。しかし、表面的にはちゃんとコミュニケーションはとれていて、トラブルが発生しているわけではありません。ですから文章に問題があっても、あえて見過ごすようにしているのですが、それでもやはりこのままではいけないと思っています。部下のメールのスキルを向上させるには、どのようにすればよいのでしょうか?
A 「ビジネスメールは国語力が決め手か?」
ところで、相談者が感じた部下のメール違和感は、いったいどのような部分だったのでしょうか。
例えば、「何かを依頼する」という内容なのに、何ら経緯説明もないまま唐突に本題に入っている、というような文章構成だったとします。この場合、受信者が「失礼だな」と感じることもあるでしょう。こうした、相手の感情に配慮がないというケースであれば、なぜそのような文章展開にしたのかを部下に尋ねる必要があります。
もしかすると、「事前に電話で経緯などを話していたため必要ない」と判断したのかもしれません。あるいは、受信者が「失礼だ」と感じるかもしれない、ということに気付くことすらなかった、ということも考えられます。
後者の場合は共に働く人への配慮、という観点からの指導や話し合いが必要かもしれません。
感じよい文章で一見嫌な印象がまったくないというメールでも、複数の解釈が生まれる余地があれば問題です。コミュニケーションに苦手意識があり、受信者の感情に配慮しすぎると曖昧な表現になりがちです。
必要なことは明記しなければいけませんが、「嫌われたくない」というような意識が過剰に働いているとそれが文章に出ます。この場合は、本人の人間関係に対する問題点を自覚するためのカウンセリング的な場を設けたり、ビジネスに対する姿勢を正す必要があるかもしれません。
その他にも、文章の構造やメール構成の仕方などからその人の思考を読み解き、指導に生かすことができます。
●文章に過不足はないか
●必要情報はわかりやすく明記されているか
●レスポンスのタイミングは遅すぎないか
●不快に感じられる危険のある箇所はないか
●敬語は適切か
●文章の流れ(各段落の主旨の流れ)は適切か
●相手の状況、感情に適切な配慮があるか
つまり、単に文章の書き方という問題ではなく、文章に何が表れているか、メールを送るという行動の中にどんな考え方が含まれているか、それを上司が読み解くことが重要なのです。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.10(2009年6月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。