Q

プロジェクトの進捗を確認するため、共有管理システムから部下のチーム内外でのメールのやりとりを見たのですが、「こんな文章を送っていたのか……」と正直ヒヤヒヤする文面が多数ありました。しかし、表面的にはちゃんとコミュニケーションはとれていて、トラブルが発生しているわけではありません。ですから文章に問題があっても、あえて見過ごすようにしているのですが、それでもやはりこのままではいけないと思っています。部下のメールのスキルを向上させるには、どのようにすればよいのでしょうか?

A

今回は新人指導という観点も踏まえ、「メールの文章品質」にスポットを当てます。

プロジェクトのスタートから終了まで、担当者が一度も顔を合わせることがないという案件もありますから、業務上メールの重要性は高まるばかりです。しかし、そんなメールに関する企業での研修は十分ではありません。

電話の応対や名刺交換といったマナー研修は入社時にどこでも行われていますが、メールに関して言えば十分な教育機会が与えられているとはいえないのが実情です。実際には「自己流」という人が多いのではないでしょうか。

ビジネスで使うメールは、単に「読み書きができればいい」というわけではありません。大切なことは、あなた自身が部下のメールを「たかがメール」という意識で見るのではなく、1つの業務成果物として再認識するということです。

メールも「コミュニケーションを担う会社のアウトプット」としてその品質が問われるという認識を、指導を通じて部下と共有していくことが必要になります。

まずはモニタリングを定期的に

当然のように使われてはいるものの、ビジネスメールはまだその歴史が浅く、発展途上のツールです。指南書でも見解が分かれる部分があったりします。実際のところ筆者のところに届く様々な業界、役職の方々のメールは、それぞれ書き方にも違いがありますが、それが直接各々のビジネスに影響するということはまずありません。

もちろんこれは、最低限のことができているということが前提ですが、メールマナーや基本的な書き方は、書籍や社内のルール集、テンプレートなどを有効活用し、それを習熟させていけばいいでしょう。

今回のご相談のケースでは、必要があって部下のメールのやりとりをチェックした際に違和感を感じたということでした。今後は、部下のメールを定期的、恒常的にモニタリングすることが必要でしょう。

よく「忙しくて構っていられない」と、部下のメールを放置している人がいますが、クライアント先やチーム内でトラブルを引き起こす人というのは、メールの使用法や文章表現などにその兆候が少しずつ表れることがあります。それを早期に察知できれば、無用なリスクを事前に回避できるかもしれません。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.10(2009年6月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。