工場のIoT化や自動運転車の開発、スマートフォンの高度化などの影響で電子機器の製造量が増加している。それと同時に増えているのが電子機器の受託生産(EMS)だ。本連載では、2018年よりOKIのEMSグループに編入し、EMS事業へと力を入れているOKIテクノパワーシステムズのEMS事業の現状や今後の戦略などについて紹介する。
OKIテクノパワーシステムズの工場の様子について紹介した前回に引き続き、本連載の最後となる今回は、今後の同社におけるEMS事業戦略についてを聞いた。
EMS事業の成長の鍵は、シナジーをどう活用できるか
事業構造、社員のマインドの変革によって、外顧客への販売を順調に伸ばしているOKIテクノパワーシステムズ。しかし、まだその成長を止める気はないようだ。「4月よりEMSグループに参加したことで、グループ間での他業界とのつながりができた。このつながりを有効活用し、業界の水平展開、顧客内の他事業部開拓などにつなげていきたい」と佐藤社長。
「2022年に、EMSグループの売り上げを1000億円に」という強気の目標から見える、OKIグループの同事業への期待。グループ会社、子会社を「EMSグループ」としてまとめたことによって、これまで以上のシナジー効果が生まれ、新たな価値が生み出されていくことだろう。
佐藤社長はさらに、「半導体製造装置の市場が盛り上がっているが、それに依存することなく収益を上げられるよう、今のうちから手を打っておきたい」とつづける。最近はその活動の一環として、新たに医療や交通の分野への販売を強化しているのだという。
「2018年度の売り上げは33億円ほど。OKIのEMSグループが目指す、売り上げ1000億円の実現に貢献するためには、さらなる成長が必要。今回のEMSグループへの参加によって期待されるシナジー効果を活用し、さらなる成長につなげていきたい」と続ける。
ここ数年は半導体産業が好調、とはいえその流れがいつまで続くかは読めない。先の見えない市場の中で、製造業各社に求められているのは、先読みの力、そして潮流が変わったときに、うまく舵をとれる組織だろう。
OKIグループという大きな母体がいながらも、そこに頼るのではなく、外販力を育てることによって着実に売り上げを伸ばすOKIテクノパワーシステムズ。同社は、OKIの今後の成長分野となるであろうEMSグループの中でますます存在感を発揮していくことだろう。