前回までは、「財務応援Lite」の仕訳の入力/表示機能について評価した。
帳簿や伝票は、記録を残すという点では重要だが、記録はあくまでも記録に過ぎない。会計ソフトの本質は、帳簿や伝票に入力した仕訳データをいかに有効に経営に活用することができるかにかかっている。
今回からは、2回にわたり、試算表などの帳票類の作成機能や売掛金/手形などの管理機能、およびその他の付加機能について評価してみよう。
試算表を瞬時に表示、個別帳簿への移動もマウス不要
経営者であるからには、常に経営状態を把握しなければならない。それには、ドンブリ勘定は禁物。試算表で科目残高を確認するのが一番だ。
手書きによる帳簿の場合、見たいときに試算表が見られるとは限らない。前回も述べたように「財務応援Lite」は、仕訳を入力するだけで試算表が自動作成される。つまり、いつの時点でも試算表を表示できるのだ。これこそ転記不要のメリットである。
試算表は、区分ごとの合計残高が表示される標準的な残高試算表の形式だけでなく、科目残高だけを科目順に一覧表示する合計表や、補助科目の残高を表示する形式も用意されている。個別元帳とも連動しているので、経営状態を広く見渡すことができる。
"超あいまい条件"で仕訳検索可能、想定外の入力ミスがあっても困らない
会計業務では、何らかの理由で特定の仕訳を後で探す必要が生じる場合がある。たとえば、「ある科目の残高が何となくおかしい」「もしかして二重計上や金額の過不足があるのでは」といった疑念が生じたケースなどだ。
このような場合、仕訳日記帳や個別元帳を上から順に見ていっても、なかなか目的の仕訳が見つからないことが多い。無意識の入力ミスの場合、入力した本人でも何を入力したか分からないことがあるからだ。
日付や科目などが分かっているなら、ある程度は個別元帳でも絞り込める。ところが、入力ミスの場合は、日付もはっきりせず、科目が間違っている可能性もあるので、金額の範囲や摘要に含まれる文字列くらいしか手掛りがない。検索は困難を極めることになる。
そんなときに威力を発揮するのが仕訳検索機能である。仕訳検索機能では、日付や勘定科目のように、仕訳を特定しやすい条件だけでなく、金額の範囲や摘要に含まれる文字列など、あいまいな条件でも仕訳を検索できる。
摘要ごとに残高を集計できる"摘要科目"
「財務応援Lite」には「摘要科目」という科目がある。これは会計の専門家でも耳慣れない言葉だろう。それもそのはず、実際には存在しない仮想の科目だからだ。
摘要科目とは、「財務応援Lite」独自の集計方法である。摘要マスターに登録された摘要を勘定科目に関連付けることにより、試算表(摘要含む)上で摘要ごとの残高を管理することができるのだ。
摘要科目: たとえば、摘要マスターに従業員名を登録し、仮払金の勘定科目に関連付けておくと、試算表上で、各自の仮払金の残高を管理することができる。仕訳の入力時には、「摘要」欄に摘要マスターに登録された摘要を入力しておけばいい |
帳簿の印刷は、帳簿イメージがわかりやすいプレビュー付
帳簿を印刷する場合は、カラーの帳簿イメージのプレビューが表示される。このプレビューは見やすいので、帳簿の内容を確認する程度であれば、画面上で閲覧するだけで十分だろう。資源の節約が叫ばれる昨今、必要最小限の印刷で済ませられるのは、エコ的によいことだ。
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以上、今回は帳票類の作成に役立つ機能を取り上げた。
摘要科目ごとの集計機能や、入力ミスのあったデータに対しても検索をかけることが可能な仕訳検索機能などは、財務応援 Liteの大きな特徴の1つとして挙げてよい。いずれの機能も、会計処理を効率化させるうえで、また経営状態を把握するうえで大いに役立つはずだ。
なお、同ソフトには、3ヶ月間有効な無償体験版も用意されている。ほとんどの機能が利用できるので、興味のある方はエプソンのWebサイトからダウンロードし、試すとよいだろう。
次回は、引き続き帳票関連の機能に触れた後、売掛金/手形等の管理機能について紹介していこう。