Samsungのメモリ戦略
ISC 2015において、SamsungのDaniel DG Lee氏が、同社のメモリ戦略を説明した。
図6.26 ISC 2015でSamsungのメモリ戦略を説明するDaniel DG Lee氏 (以下の図は、Lee氏のISC 2015における発表スライドが出典である) |
図6.27に示すように、大量のデータをメモリに置いて処理するサーバの台数は、2013年の38万台から、2015年には71万台とほぼ倍増し、2018年には120万台に達すると予想されている。
しかし、プロセサの性能の伸びに対してDRAMやHDDの性能向上の伸びは鈍く、性能ギャップが拡大しており、このギャップを埋めるものが求められている。これは他の発表者にも共通の認識である。
プロセサとDRAMの性能ギャップに対して、SamsungはTSV(Through Silicon Via)を使ってDRAMチップを3D積層するHBM(High Bandwidth Memory)を開発している。これによりメモリバンド幅は2015年に300GB/s、2019年には1TB/sに向上する。また、HBMを使うことにより、電力あたりのバンド幅は、現在、ハイエンドのGPUに使われている6GbpsのGDDR5と比較して1.9倍に改善する。
ストレージとしては、HDDに比べてSSDの方が性能が高いので、価格の低下に伴ってSSDの使用が増えている。しかし、SSDも、まだ、HDD時代のSASやSATAなどのインタフェースに縛られて性能がフルに発揮できていない面がある。このため、PCI Expressに直結し、SSD向けの新機能がサポートされるNVMeという規格が作られている。Samsungは、この規格にいち早く対応し、2014年からSM1715 SSDを発売し、今年は第2世代の製品を発表している。
このNVMeのSSDとSASのSSDを比較したものが図6.30の右側の棒グラフで、NVMeのSSDはレーテンシが2.1倍短く、ランダムReadの性能が4倍、ランダムWriteの性能は3.4倍となっている。
SamsungはSEED(Samsung Early Enabling Drive)という名称で、新機能の評価のためにサンプルを提供して顧客やスタートアップの会社と協調するという活動を行っているので、利用して戴きたいとのことであった。