抵抗溶接機のパイオニアとして70年以上に亘り業界を牽引してきた電元社製作所。時代に応じて画期的な新製品を製造し、自動車・鉄鋼・住宅建材・家電などの幅広い分野で、多様化するニーズに応えてきた。日本の溶接業界の歴史を築きあげてきた同社がどのようにして発展を遂げてきたのか――。日本を代表する抵抗溶接機の総合メーカーに成長するまでの経緯と今後のビジョンを、代表取締役社長 清水氏に聞いた。
--御社の製品や事業内容の特徴を教えてください。--
当社は電気の抵抗を利用した抵抗溶接機を製造している会社です。抵抗溶接とは、溶接したい母体に電流を流し、溶解させると同時に加圧し、接合する技術。自動車や航空、鉄道など、今や人々の生活に欠かせない輸送機器をはじめ、幅広い分野の製品を製造しており、モノづくり産業に必要不可欠な技術として、世界中に浸透しています。そんな抵抗溶接機にも様々な種類があり、当社で製造している製品は「汎用機」、「戦略商品」、「専用機械」の3つのカテゴリーに分かれています。汎用機は最も幅広い製品の製造で使用される一般的な抵抗溶接機で、戦略商品は大規模な自動車メーカーで戦略的に使用されるもの。専用機械は特定のお客様のニーズに合わせて製造した機械になります。限られた分野の製品しか扱っていない抵抗溶接機の専門メーカーが多い中、幅広い抵抗溶接機を総合的に取扱い、時代に沿ったお客様のニーズに柔軟に対応できる点が当社の大きな特徴で、世界でも数少ない総合抵抗溶接機メーカーです。
--これまでの77年について教えてください。--
当社は創業してから、終戦、高度成長期、バブル崩壊、リーマンショックなど、様々な時代の節目を経験してまいりました。中でもリーマンショックは大きな市場変化の潮目として、特に厳しい状況を経験いたしました。日本の産業が縮小し、海外に向かっていかざるを得ない中でも、抵抗溶接機メーカーのパイオニアとして培った実績と市場のデータをもとに、時代の変化に対応でき得る新商品を開発し、大きな危機を乗り越えることができました。当社は、「素材が変わり、溶接しにくくなった」、「抵抗溶接機本体(ガン)だけでなく、制御装置も必要になった」といった、時代と共に変化するお客様の要望に、一つひとつ丁寧に応えることで、"抵抗溶接機の総合メーカー"という確固たるポジションを確立することができたのだと思います。草創期から現在まで続く電元社のモノづくりにかける思いが、顧客のニーズに的確に応える商品開発力や、総合的な技術力の向上につながり、これからも未来を切り開いていくと信じています。
--変化の激しい業界の中で、次はどのような展開を考えているのか、今後のビジョンを教えてください。--
今後のビジョンとしては、グローバリゼーションを更に加速していきたいと思います。グローバリゼーションといっても、市場は地域によって変わってきますので、簡単なものではありません。欧州・東南アジア・アメリカ・日本など、国や地域によって、国民の考え方や文化や風習が異なっており、それぞれの国や地域に合わせた戦略を立てる必要があります。当社は決して大規模な企業ではありませんので、急に全ての国をカバーすることはできません。地域を絞りながら、少しずつ輪を広げていきたいと考えています。現在は、アメリカ・メキシコ・イギリス・インドネシアに拠点や製造工場を展開している他、タイ・マレーシア・インド・中国・台湾にも販売網を拡大しています。また、溶接する素材の変化にも柔軟に対応できるように、新たな商品の開発も引き続き注力していくつもりです。炭素繊維に移行する自動車の素材をはじめ、あらゆる市場の変化に対応し、ゆくゆくは、総合接合機メーカーとして世界No.1になることを目指し、挑戦を続けていきたいと思います。
--御社のこれからを担う社員に期待することを教えてください。--
自分でものを考え、新しいことに挑戦する。そんなアグレッシブな活躍に期待しています。これまでは国内に多くの需要があり、外に目を向ける必要がありませんでしたが、これからはより広い視野とグローバルな展開・対応が求められると考えています。海外に積極的に出向き、現地で実際に生活をして、海外の市場を肌で感じ取り、仕事に活かす――そんな世界を股にかけた活躍ができる社員を育成していきたいと思っています。 当社では、入社から2年間みっちり溶接技術を学んでもらう研修を用意しているほか、欧米へ渡り、現地のメーカー、ユーザーを訪問し、どんな使い方をしているのかを見学するなど、現地の文化を直に学んでもらう海外研修等も行っています。自ら進んで海外の生活に身を置き、積極的に市場のニーズに触れようという貪欲さとタフさを持った方のポテンシャルに期待しています。
会社概要
社名:株式会社電元社製作所
設立:1951年5月(創業:1935年4月)
資本金:1億2,800万円
代表者:代表取締役社長 清水 潤一
事業内容:各種電気抵抗溶接装置の製造・販売
掲載中の原稿:マイナビ2013
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