2018年2月14日~16日にかけて東京ビッグサイトにて開催されているナノテクノロジーの展示会「nano tech 2018 第17回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」において東レは、同社独自の「ナノアロイ技術」を用いた腕時計やゴルフクラブ、繊維の断面形態を任意に制御できる複合紡糸技術「NANODESIGN」などの展示を行っている。
ナノアロイ技術とは、複数のポリマーをナノメートルオーダーで微分散させることで、従来材料の特性向上を発現させる技術。同技術を適用したマトリックス樹脂を使用した炭素繊維プリプレグを、ゴルフシャフトやラケット、自動車フレームなどに用いることで、強度を維持したまま軽量化することが可能だ。
さらに同社は、この技術に加えて分子設計技術を適用することで、ポリマー材料への環動構造の導入にも成功している。これらの技術を用いて開発された「しなやかタフポリマー」と称される材料では、紐状の分子とリング状の分子からなる「ポリロタキサン」を、ナノアロイ技術を用いて材料中に分散させることで、従来品よりも破断伸び、および屈曲耐性の向上を実現した。
同素材は、衝撃エネルギーの吸収性をもつことや、耐久性が高いことから、将来的には車のバンパーなどへの応用が期待されるとのこと。
一方の「NANODESIGN」は、繊維製品に新たな付加価値を創出するもので、具体的には、ポリマーの流れを操作し、繊維断面を「点」で形成することによって、繊維の表面に微細なデザインを施すことができる。例えば、用いる繊維の色を変えることで、微細製品に任意の模様を施すことが可能だ。
同社ブースではそのほか、2種類の樹脂による張り合わせ構造を有した、ポリエステル超微細捲縮テキスタイル「uts-FIT」も展示されている。同素材は、微細なスパイラル構造を有することが特徴で、これにより従来の素材と比べ、手触りが滑らかで光沢があり、伸縮性や撥水性が向上するなどといった性質をもつ。今後は、耐水性の洋服などへの応用が期待されるという。