前回は、Windows Server 2008/同R2の開発者向け技術情報について取り上げたが、今回はクライアント側、すなわちWindows 7の開発者向け技術情報について取り上げよう。Windows Server 2008 R2とWindows 7のSP1は同時リリースなので、ちょうど良いタイミングかもしれない。
Windows 7関連の開発者向け情報いろいろ
というわけで、クライアント側すなわちWindows 7で動作するアプリケーションの開発に関わる技術情報の話をしていこう。サーバ用とは別に、開発者専用のデベロッパーセンターがある。
Windows 7開発者向け技術情報
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/
サーバ用Windowsと異なり、クライアント用Windowsにはユーザーインタフェースや周辺機器に関わる新機能がいろいろと加わるのが常だ。そのため、新機能に関する情報収集は欠かせない。必ず使わなければならない機能ではないにしても、使って便利な機能なら活用するに越したことはないからだ。
Windows 7新機能
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/gg314551.aspx
上記のWebページでは、以下の機能を取り上げている。
- タスクバーとジャンプ リスト
- リボン
- ガジェット
- マルチタッチ(手書き入力)
- ライブラリを使ったファイルとデータの管理
- センサー
- DirectX
なかには、Windows Vistaあるいはそれ以前のバージョンから引き継いでいる機能も含まれるが、Windows 7になって拡張された機能やバージョンが上がった機能もあるので、最新の情報を確認しておこう。
このほか、開発者向けのガイドラインや各種のホワイトペーパー、ユーザーインタフェースの設計に際して考慮すべき点をまとめたガイドラインといった文書もある。本連載の初めのほうで取り上げた「Code Receipe」にはWindowsプログラミング用のサンプルも含まれているので、これも参考になるかもしれない。
Windows 7ホワイトペーパー
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/dd262126.aspxWindows 7開発者ガイド
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/dd371748(VS.85).aspxWindowsユーザー エクスペリエンス ガイドライン
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/aa511258.aspxCode Receipe #12 : Windowsプログラミング
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/ff363212.aspx#14
Windows XP用アプリケーションなどのWindows 7への移行
そして、Windows Serverの場合と同様に、以前から使っているアプリケーションをそのまま、あるいはバージョンアップして利用する場合は、互換性や移行に関する情報が必要になるだろう。無論、抜かりなく情報が用意されている。特に後者のホワイトペーパーは、Web上で注意すべきポイントについてまとめるだけでなく、一式をWord文書(*.docx)でダウンロードすることもできるようになっている。
Windows XPからWindows 7アプリ移行実践ガイド
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/gg581817アプリケーション開発者向けMicrosoft Windows 7対応アプリケーションの互換性
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/dd882526(VS.85).aspx
なぜか同じタイトルを掲げた別のコンテンツがあり、そちらでは互換性検証ツールのACT(Application Compatibility Toolkit)について取り上げている。手作業で確認するだけでは限界があるうえに手間も時間もかかるので、ツールで検証してから手作業でフォローするのも一案だろう。
アプリケーション開発者向けMicrosoft Windows 7対応アプリケーションの互換性
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/dd883237
意外なところでは、DirectXデベロッパーセンターからリンクされている、このコンテンツがある。具体的な手順やツールの紹介まで網羅しているので、こちらの方が使いやすいかもしれない。前述したACTに関するコンテンツは、実はここからリンクされている。
DirectXデベロッパーセンターからリンクされている「Windows XPからWindows 7アプリ移行実践ガイド」。順を追って互換性を確保するための作業について解説しているという点で、ポイントが高そうだ
場合によっては、まだVisual Basic 6で開発したアプリケーションソフトを使用しているかもれない。特に、企業の社内で試用している独自開発の業務用アプリケーションソフトでは、そうした傾向がありそうだ。しかもその手のソフトウェアでは、OSがバージョンアップしたからといって、簡単に「はい、それでは作り直しましょう」というわけにはいかない可能性がある。そうしたソフトウェアの開発者あるいはユーザーにとっては、以下の情報が役立ちそうだ。
Windows 7におけるVisual Basic 6.0のサポート
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/vbasic/cc707268
Visual Basicの開発チームが、「Visual Basic 6.0で開発したアプリケーションソフトがWindows VistaやWindows 7(そしてWindows Server 2008も)で動作するようにする」と表明しているのは頼もしい。といっても、その文言だけをアテにして闇雲に突き進むのではなく、技術的な注意点は押さえておきたい。
このほか、Windows 7では64ビット版の利用が増えており、特に市販のメーカー製PCは64ビット版をセットアップした状態で販売するものが主流になっている。となると、ソフトウェア開発者としても、自分が開発したアプリケーションソフトが64ビット版のWindows 7で問題なく動作するかどうかは重大な関心事だ。その64ビット版については前回で取り上げているので、そちらを参照いただきたい。