いよいよ、MSDNオンラインで一番の人気コンテンツ、MSDNライブラリに話を進めることにしよう。

もともと、Windowsヘルプを利用する形でMSDNサブスクリプション会員向けにCD-ROMの形で配布していたものだが、現在ではインターネット経由でアクセスできるWebブラウザ向けのオンライン版が中心になってきているように見受けられる。そこで、そのオンライン版の話を中心に進めていくことにしよう。

MSDNライブラリでできること

ライブラリといってもDLL(Dynamic Link Library)とは関係なくて、要は技術文書やリファレンスの集合体と考えていただければよい。

ソフトウェアの開発を行っていると、開発ツールそのものに関する情報、オブジェクト・プロパティ・メソッドといったものに関する情報やリファレンス、サンプルコードなど、作業中に参照したい情報がいろいろと出てくる。そこで真っ先にアクセスして探してみたいのがMSDNライブラリというわけだ。そうした事情があるからこそ、MSDNライブラリはMSDNオンラインで最大のアクセスを集める人気コンテンツになっている。

Web版のMSDNライブラリは、誰でも自由にアクセスできる。まずMSDNオンラインにアクセスして、上部のコンテンツ一覧で[ホーム]の隣にある[ライブラリ]をクリックすると、MSDNライブラリのトップページに移動する。この位置関係からいっても、MSDNライブラリが重要なコンテンツと見なされているのだろう。

MSDNライブラリ
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/default.aspx

MSDNライブラリのトップページ。左側の見出し一覧をクリックすると小見出しの一覧に移動する仕組みで、それを繰り返しながら目的の記事を探してアクセスする仕組み

もともとWindowsヘルプで作られていたものが起源だからなのか、それとも利便性や全体の見通しを考慮すると「この形が一番」と考えられたからなのか、画面の左側に見出し一覧をツリー上に並べて、それをクリックすると画面右側にコンテンツを表示する形をとっている。

他のコンテンツと同様、MSDNライブラリでも次々に新しい記事が加わっている。だから、まずはMSDNライブラリのトップページにアクセスして、画面右側に表示されている[最新コンテンツ]をチェックしておくのがよいだろう。特に、新しい開発環境、あるいは新しいテクノロジーが登場したときには要チェックだ。

MSDNライブラリへのアプローチ・その1

もっとも実際には、「何か新しいネタはないかな?」といってMSDNライブラリにアクセスする場面よりも、開発作業を行っている過程で「○○について知りたい」といってMSDNライブラリにアクセスする場面の方が圧倒的に多いだろう。そこで取り得るアプローチは、二種類考えられる。

ひとつは、自分が知りたいと思っている情報について、どの分野に属しているのかが分かっている場合だ。その場合、MSDNライブラリのトップページから見出しをたどっていく方が探しやすいと思われる。

MSDNライブラリのトップページ左上には、[基本的な内容]として以下の項目が並べられている。

  • 開発ツールと言語ドキュメント
  • デザインツール
  • モバイルおよびEmbedded開発
  • .NET開発
  • Office開発
  • Officeソリューション開発
  • サーバーおよびエンタープライズ開発
  • Web開発
  • Win32およびCOM開発
  • テクニカルドキュメント

最初の[開発ツールと言語ドキュメント]は、Visual Studioシリーズ、あるいはVisual Studioで利用可能な各種プログラム言語に関する情報をまとめたコンテンツだ。Visual Studioそのものが備える機能や便利な使い方について知りたい、言語の仕様やリファレンスについて知りたい、サンプルコードを探したい、といった場面で利用する可能性が高い。

その下に並んでいる「○○開発」の一群は、ターゲットとなる環境ごとに技術情報をまとめたものといえる。一口にソフトウェア開発といっても、ターゲットとなる環境が異なれば、開発に必要な情報は違ってくる。だから、その環境ごとに見出しを分けておく必要がある。

たとえば、データベースを叩いて何かをするアプリケーションを開発するにしても、COM(Component Object Model)とADO(ActiveX Data Object)の組み合わせを用いるのか、.NET Frameworkを前提としてADO.NETを使用するのか、といった具合に複数の方法があるから、それによって必要とする情報が違う。そのため、[Win32およびCOM開発]と[.NET開発]は別々の見出しを立ててある。

もちろん、ターゲットとなる環境が異なれば、コードの書き方も違ってくる。同じようにオブジェクトやプロパティやメソッドをいじくるにしても、ターゲットとなる環境によって、それらの内容はさまざまだ。そういった情報をパッと参照できるリファレンス的な情報は、開発者にとっては必須のものといえる。

[.NET開発]以下に載っている、クラスライブラリのリファレンス。ソフトウェアの開発を行っていると、この種の情報は必須のものだ

実際、筆者も過去にASP(Active Server Pages)やVBA(Visual Basic for Applications)を使って自分用のプログラムをいくつか書いたことがある。といっても、他人様の前に出せるような代物ではなくて、データベースを叩いたりXML文書をこね回したりする、必要最低限の機能だけを果たすプログラムではあったが。それはともかく、ちゃんと動くコードが出来上がるまでの過程で、MSDNライブラリをおおいに参考にした。もうずいぶんと昔の話になるから、オンライン版ではなくて、MSDNサブスクリプション会員向けのメディア配布版だったが。

なんて「自分語り」をしていたら分量が長くなってきてしまったので、続きは来週に取り上げることにしよう。