前回は、「自前でサーバを調達・運用する必要性がなくなったわけではない」「用途と状況に合わせて、クラウドサービスやレンタルサーバと、自前のサーバを使い分けるのがよい」という話をした上で、費用対効果に優れたサーバとしてマウスコンピューターの「MousePro SVシリーズ」紹介した。
今回は、Windows Server 2012 R2 Standardを搭載しながら、13万円台(税別)で購入できる「MousePro SV220STシリーズ」について、さらに紹介していこうと思う。
MousePro SV220STシリーズの機能とポイント
MousePro SV220STシリーズのラインナップはエントリーモデル、スタンダードモデル、ハイエンドモデル、プレミアムモデルの4種類があり、OS(Windows Server 2012 R2 Standard)、グラフィックス(Aspeed AST1300)、インタフェース(USB 3.0×2、USB 2.0×2、D-Sub×1、LAN×2)は共通で、違いはCPU、メモリ、ストレージとなる。モデルごとのスペックの違いは、以下の表の通りだ。
<モデルごとのスペックの違い>
モデル名 | エントリーモデル | スタンダードモデル | ハイエンドモデル | プレミアムモデル |
---|---|---|---|---|
プロセッサ | Intel Pentium G3220 | Intel Core i3-4130 | Intel Xeon E3-1265Lv3 | Intel Xeon E3-1265Lv3 |
メモリ | 4GB ECC | 4GB ECC | 4GB ECC | 8GB ECC |
SSD | オプション | オプション | オプション | 300GB |
HDD | 500GB | 1TB(1TB×2) | 2TB(2TB×2) | 2TB(2TB×2) |
RAID | オプション | RAID-1(ミラーリング) | RAID-1(ミラーリング) | RAID-1(ミラーリング) |
価格(税別) | 139,800円 | 154,800円 | 184,800円 | 229,800円 |
個人的な感想だが、Windows Server 2008と比較すると、Windows Server 2012は高いハードウェアスペックを要求する。したがって、Windows Server 2012 R2が持つ機能を存分に活用するには、できれば「スタンダードモデル」、ないしはそれ以上のモデルを選択したい。初期構成例では「エントリーモデル」と「スタンダードモデル」の価格差は2万円もないので、「スタンダードモデル」にする方がお買い得だろう。グループウェアや会計ソフトなど、SQLデータベースを含むアプリケーションの運用を考えている場合は、「プレミアムモデル」を選んでおけば、パフォーマンスに悩まされることはないだろう。
MousePro SV220STの筐体は、ホットスワップ対応のHDDを最大4台まで内蔵できる。RAIDで4台というと少々物足りなく感じるが、費用や設置スペースとのバランスを考えると、これぐらいがちょうどよいかもしれない。構成できるRAIDは、RAID-1によるミラーリング、RAID-10によるミラーリング・ストライピング組み合わせのいずれかだ。
その他のポイントとして、LANアダプタを2個備えている点が挙げられる。真っ先に思いつくのは、LANとインターネットの境界に設置してプロキシ・サーバを仕立てる使い方だが、なにもそうした「複数ネットワークの仲介」にしか使えないわけではない(そもそも、中小規模の組織であれば、ルータにしろファイアウォールにしろ、専用の機器を使用することの方が多いだろう)。
たとえば、2個のLANアダプタをそれぞれ別のネットワークに接続することで、LANの負荷分散を図る使い方もある。このほか、サーバにNASを接続して、バックアップ用のバッチファイルを自動実行する使い方も考えられる。LANアダプタが2個あれば、バックアップのトラフィックと通常トラフィックを分離できるので、バックアップのトラフィックがネットワークを占有してしまうリスクは避けられる。
もちろん、eSATAポートを使って外部ストレージを接続する手も考えられるのだが、サーバが複数ある場合、それらで共有する「バックアップ専用の裏ネットワーク」を構築、そこにネットワーク接続型のストレージ機器を接続する手も「あり」かもしれない。
メーカーやシリーズはできるだけ揃えよう
自前でサーバを設置・運用する場合、TCOを抑制するための手段として、メーカーとシリーズの統一を図ることをお奨めする。すべて同一シリーズの製品で揃えておく方が、運用ノウハウの一貫性や予備品確保といった面で有利と考えられるからだ。
たとえば、ホットスワップ対応のハードディスクでRAIDを組んだ場合、すべてのサーバで同一メーカー・同一機種の交換用HDDを共用できれば、サーバごとにバラバラな交換用HDDを確保するより経済的だ。
それに加えて、セットアップ画面でも、拡張スロットなどを用いた機器増設でも、機種が同系統なら手順も似たようなものだから分かりやすい。しかし、機種がバラバラだと、機種ごとに覚え直さなければならず、煩雑だ。
あと、まとめて買えば安くなる… という効果も期待したいところだが、これはメーカーや販売店によって対応がいろいろ分かれそうである。