規模の大小にかかわらず、業務でコンピュータを使用するのであれば、そこで必要になる各種のデータを確実に管理・保全する必要がある。その一方で、必要なときにはいつでも所要のデータにアクセスできるようにすることも重要だ。

そうなると、ネットワーク環境と併せてデータの管理・保管に使用する機材としてサーバPCが必要になる。ファイルを共有するだけならNAS(Network Attached Storage)でも用が足りるが、逆にいえばファイルの共有しかできない。その点、サーバの方が多機能で頼りになる。

ただ、大規模組織ならともかく、中小規模の組織になると、サーバの導入費用や設置場所など、気になる点はいろいろある。費用がかかりすぎれば導入に二の足を踏むことになり、あまり大がかりでは設置場所を確保できない。また、取り扱いが難しくて専任の管理者を必要とするようでも困る。そこで今回は、初めてのサーバ導入に最適な中小企業向けのサーバPC「MousePro SV」シリーズの「MousePro SV200ESX」を紹介する。

「MousePro SV200ESX」は、どんなサーバ?

「MousePro SV200ESX」は、マウスコンピューターが販売するWindows Server 2012 Essentialsを搭載した、中小企業・SOHO 向けの簡単小型サーバだ。10万円台で購入でき、主要スペックは以下のようになっている。

「MousePro SV200ESX」(ハイエンドモデル)の主な仕様
   [CPU] Intel Xeon E3-1265LV2 (4コア/HT対応/2.50GHz/8MB スマートキャッシュ)   [メモリ] 4GB ECC対応メモリ(1スロット空き、最大8GB)   [HDD] 2TB×2(RAID1/ミラーリング、ホットスワップ対応)   [光学ドライブ] なし   [インタフェース] 1000BASE-T対応ポート×2、USB 2.0×6(背面×4、前面×2)、DVI-I×1、PCI Express x16×1(空き1)、3.5型ベイホットスワップ×4(空き2)、2.5型ベイシャドー×2(空き2)   [サイズ/重量] W200×D337×H273mm/約8.85kg   [OS] Windows Server 2012 Essentials   [価格] 15万1,620円  

「MousePro SV200ESX」の前面

「MousePro SV200ESX」の背面。インタフェース類は下部に集中配置している

実物を最初に見たときに感じたのは、「小さい」ということだ。RAID対応のサーバPCは複数のホットスワップ対応ドライブベイを内蔵する必要があるので、どうしても筐体が大柄になりやすい。そういう先入観からすると、「MousePro SV200ESX」は意外なほど小さい。

その秘密はどうやら、電源と基盤がコンパクトにまとまっている点と、5インチや3.5インチのドライブベイを省略した点にありそうだ。光学ドライブが必要なときには、USB接続の外付けドライブを使うことになる。実際、カスタマイズのオプションでもUSB接続の光学ドライブを設定している。

「MousePro SV200ESX」の内部。左上が電源、右上がRAID対応のHDDベイ群

レガシーインタフェースは全廃しており、ディスプレイはDVI-I、キーボードとマウスはUSBを使用する。このうちDVI-Iについては、カスタマイズのオプションとして、アナログRGB変換アダプタを購入できる。

「MousePro SV200ESX」はハードウェアRAIDに対応しており、評価機では2台のHDDを搭載してのRAID 1、つまりミラーリングを行っていた。2TBのHDD×2台に対して同時に同じ内容を読み書きしているわけだから、片方のHDDが壊れても他方は生き残る安心設計だ。

ただし、RAIDはあくまでHDDの故障に備えるためのものだから、バックアップをしなくてよいということにはならない。

なお、「MousePro SV200ESX」は、6TB(3TB×4)のRAID 10(ミラーリング&ストライピング組合せ)もオプションで選択可能だ。

HDDの搭載数が増えて、高性能のCPUを搭載すれば、発熱は増える。しかもサーバPCはフルタイムの連続運転が前提だから、熱がこもって過熱するようでは困る。そのため、通気と冷却に気を使うのが常だが、これは筐体の小型化とは相反する条件なのが難しいところだ。

しかし、「MousePro SV200ESX」は小型にまとめている割には筐体内部に余裕があり、しかも換気用のファンもしっかり設置してあるので、過熱の心配はなさそうだ。前面をすべてパンチングした鉄板にして通気性をもたせている点も、基盤に加えて複数のHDDによる発熱に対処しなければならないサーバPCらしい。

このほか、サーバPCらしいポイントとしては、そのパンチングした鉄板で構成する前面がカバーになっていて、しかも鍵をかけられるところが挙げられる。そのカバーを開けなければドライブベイや電源スイッチにアクセスできないので、管理者以外は勝手に触ることができない。

「MousePro SV200ESX」の前面カバーを開けたところ。左側面に設けた鍵を使うと、前面カバーの開閉はできなくなる

ホットスワップ対応HDDベイのクローズアップ。試用機では、引き出している2カ所は空で、左の2カ所にHDDが納まっていた

これは、データや設定を保全する観点からすると重要である。ホットスワップが可能だからといって、勝手にHDDを外されては困るのだ。もっとも実際の運用では、さらに画面ロックを仕掛ける必要があるだろう。

そのほか、仕事の基幹となる機材としてフルタイムで稼働させるとなると、保証・サポート体制も重要だ。ここのところが充実しているのもサーバPCの特徴だが、「MousePro SV200ESX」の場合、「1年間無償ピックアップ保証 + 24時間×365日電話サポート」が基本で、オプションで最大5年間まで保証を延長ができる点は安心だ。

実際に動かしてみると?

実際にサーバPCを稼働させる際に気になるポイントに「騒音」がある。こればかりは現物を動作させてみないと分からない。わざわざ専用のサーバルームを用意できないであろう中小規模の事業所では、オフィスの片隅にサーバPCを設置するだろうから、サーバPCが爆音・轟音を立てるようでは困るのだ。

実際に使ってみると、電源投入直後だけファンが唸るが、後は大して気にならないレベルだ。これなら、オフィスの片隅に置いておいても問題にはならないだろう。どうしても気になるのであれば、家具を防音壁代わりに使って、その向こう側に設置する手もある。

なお、「MousePro SV200ESX」には、OSとしてクライアントライセンスが不要のWindows Server 2012 Essentialsが搭載されている。そこで次回は、このサーバを実際に動かして、初期設定や共有設定の方法を紹介しよう。