5月2日の打ち上げを目指し、準備を進めていたインターステラテクノロジズ(IST)の観測ロケット「MOMO」3号機であるが、この日は9時くらいから風が強くなり、ウィンドウ中の回復が見込めないことから、10時半頃に中止を決定した。同機は当初、4月30日の打ち上げを予定していたが、不具合が見つかり、延期されていた。

  • 笹本祐一

    延期が決まり、メディアに囲まれるIST広報担当の笹本祐一氏(本業はSF作家)

  • 風が強くて三脚が倒れる

    風が強くて三脚が倒れるほど。ロケットの前にテントが飛びそうだった

前日は予報通りの雨模様となったが、この日は天候が回復。早朝から立ちこめていた霧も9時くらいには晴れ上がり、強風以外は絶好の打ち上げ日和となった。ただ、MOMOは比較的風には弱く、「平均地上風速5m/s以下であること」という制約条件がある。今回はこの条件を満たす見込みが無いことから、ウィンドウ前に延期を決めた。

  • MOMO3号機

    射点の様子。スタンドの吹き流しは、ずっと真横になったままだった

  • MOMO3号機

    この日の大樹町は快晴。強風以外の問題は無かっただけに残念

  • MOMO3号機

    海も大荒れの状況。波が高すぎると、監視船を出せなくなる恐れも

  • MOMO3号機

    延期となったものの、この日も大勢のメディアが詰めかけていた

4月30日は、姿勢制御スラスタ用の液体酸素バルブにリークが見つかり、打ち上げが延期となったが、すでに当該バルブは交換済み。この日は同時刻を過ぎても問題は起きず、作業を続行しており、リークは再発していなかった。今回問題となったのは強風のみで、機体については一切異常は無かったそうだ。

前回の延期後、問題となったバルブを分解検査したところ、内部でコンタミ(異物の混入)が見つかったという。コンタミは、バルブの問題としては一般的なもの。異物によってバルブが完全に閉まらなくなり、その隙間から液体やガスが漏れるという現象なので、バルブ自身の不具合というより、コンタミが発生した上流側に原因があると言える。

今回のコンタミは、これまでに実施した流し実験やリハーサルのタイミングで発生したと考えられている。MOMO3号機は万全の体制を整えるため、事前にこういった試験を念入りに行っていたが、そのことでコンタミが増えたというのは、やや皮肉な結果と言える。ただ、何度も試験したことが原因であれば、3号機特有の現象とも考えられるだろう。

次の打ち上げ予定は、本稿執筆時点で未定。機体に問題は無いので天候次第ということになるだろうが、明日5月3日は、今日よりは風は収まってくる見通しで、最短では11:15~12:30の昼ウィンドウを目指すことになるだろう。

5月2日16時追記

ISTより発表があり、次は5月3日11:15~12:30のウィンドウで打ち上げを実施するとのこと。16:00~17:20のウィンドウについては、強風予報のため打ち上げは行わないという。