3G回線からのSkype通話解禁で利便性が向上

2010年5月、従来の常識を覆すiPhone/iPod touch用アプリが登場した。それは、音声通話サービス「Skype」を使い、3G回線による通話を実現する「Skype for iPhone」だ。

Skypeと言えば、P2P(Peer to Peer)技術により無料もしくは格安料金でインターネット通話が可能なサービスとして知られている。2009年3月31日にiPhone/iPod touch用アプリの提供が開始された際、翌月2日にはダウンロード数が100万件を超えたというほどの人気ぶりだ。

しかし、従来から提供されていたiPhone/iPod touch用アプリでは、アップル側がサードパーティ製アプリに対して3G回線での通話を認めておらず、通話機能の利用はWi-Fi接続時のみに制限されていた。確かに会社内などでは便利だが、iPhoneは外出先でこそ真価を発揮するデバイス。Wi-Fi環境がある場所でしかSkypeによる音声通話が行えないという点は、多くのユーザーにフラストレーションを与えただろう。

だが、新バージョンのアプリではアップル側の制限が廃止され、Wi-Fi接続に加えて3G回線によるSkype通話が可能になった。また、6月時点では3G回線を使ったSkype通話に対して2010年末以降の課金が検討されていたが、7月には2010年以降も無料提供していくと正式発表。これによりiPhoneとSkypeの親和性が高まり、ユーザーの利便性も大幅に向上したのである。

Skype導入はビジネスにも大きなメリット

簡単ではあるが、ここで改めてSkypeの特徴について解説しておこう。このサービスを使うと、Skype同士の通話およびインスタントメッセージを無料で利用できる。Skype同士の場合、CD並みの高音質を実現しているのもポイントだ。またSkype同士だけでなく、Skype Out機能を使えば固定電話やケータイなど、一般電話への発信や国際電話も低価格で利用できる。支払い方法がプリペイド式の「Skypeクレジット」もしくは月額プランから、使い方に応じて選べるのも魅力と言えるだろう。

こうした機能を持つSkypeはビジネスの世界でも大きなメリットを発揮してくれる。会社とのやり取りをSkypeで済ませれば通信コストが削減できるのはもちろん、iPhoneさえあれば社内のどこにいても連絡が取れるため、業務の迅速化にも貢献。最近では社内呼び出し用に支給していたPHSをiPhoneに変更する企業も増えてきている。数あるiPhone用アプリの中でも基本使用料が一切無料ながら、これだけ実用的な機能を有するものは一握りと言えるだろう。

なお、Skype Outは緊急電話やフリーダイヤル、一部のIP電話サービスへの発信が行えないが、こうした点はiPhoneが本来備えている電話機能と使い分ければまったく問題ない。

プッシュ通知や転送など多彩な機能を搭載

iPhoneでSkypeを利用する方法は簡単で、アプリをインストールした後にSkype名とパスワードでサインインするだけ。PC向けクライアントと同じように音声通話やチャット、コンタクトへの追加といった各種操作、さらには「オンライン」「退席中」「取り込み中」などログイン状態の表示変更をできるので、打ち合わせや商談時も安心だ。

ちなみに、現在のバージョンはマルチタスクに対応しているので、Skypeをバックグラウンドで起動しておけば通話着信やインスタントメッセージの受信時にプッシュ通知で表示することが可能。Skypeクレジットもしくは月額プランに加入していれば、Skype通話の転送も行える。

アプリを起動すると、このようなログイン画面が表示される

画面下部の「コンタクト」をタップすると、連絡先一覧が表示される。ここからコンタクトの追加も可能

「通話」をタップすると、番号入力での発信画面が表示される

Skypeクレジットもしくは月額プランに加入していれば、Skype通話の転送が可能になる

「オンライン」「退席中」「取り込み中」など、ログイン状態の表示変更も行える

コメントが見やすく表示されるチャット入力画面

Skypeクレジットが必要な場合は「購入」をタップすることでブラウザが起動し、簡単な手順で購入できる

Skypeでは10月5日、Android 2.1以上のスマートフォン向けに「Skype for Android」を提供開始した。現時点で日本語版と中国語版はまだダウンロードできないが、これでさらにスマートフォンでのSkype利用が加速することは間違いないだろう。まだ利用していない企業は、これを機にぜひSkypeの有用性を体感していただきたい。